出村彰

出村彰（でむら あきら）

出村彰（1933年1月12日 - ）は、日本のキリスト教神学者であり、東北学院大学の名誉教授です。宮城県仙台市で生まれ、東北学院大学英文学科を卒業後、東京神学大学で神学を学びました。その後、アメリカのプリンストン神学校とスイスのバーゼル大学で神学博士号を取得し、国際的な視野を持つ研究者としての基礎を築きました。

学歴と職歴

1955年、東北学院大学文経学部英文学科を卒業。
1957年、東京神学大学を卒業。
1959年、東京神学大学大学院修士課程（組織神学）を修了後、東北学院大学の助手となります。
1964年、プリンストン神学校で神学博士号、バーゼル大学で神学博士号を取得。
東北学院大学では、助教授、教授、副学長を歴任し、後進の育成にも尽力しました。
定年退職後も、2007年からは学校法人宮城学院の理事長を務めるなど、教育界への貢献を続けました。

研究分野と業績

出村彰の研究は、特に宗教改革史に焦点を当てており、再洗礼派、ツヴィングリなど、宗教改革運動のラディカルな側面を深く掘り下げています。彼の研究は、単なる歴史的な出来事の解説にとどまらず、現代社会における宗教の役割や意味を考察する上で重要な視点を提供しています。

1972年には、日本宗教学会賞を受賞するなど、その学術的な貢献は高く評価されています。

著書

出村彰は、多数の著書を執筆しており、宗教改革に関する研究成果を広く一般に普及させる役割を果たしました。主な著書には以下のものがあります。

『再洗礼派 宗教改革時代のラディカリストたち』（日本基督教団出版局、1970年）
『ツヴィングリ』（日本基督教団出版局、1974年）
『スイス宗教改革史研究』（日本基督教団出版局、1983年）
『カステリョ』（清水書院、1994年）
『中世キリスト教の歴史』（日本キリスト教団出版局、2005年）
『総説キリスト教史 2(宗教改革篇)』（日本キリスト教団出版局、2006年）
『宗教改革論集 1-2』（新教出版社、2009-10年）

共編著

他の研究者との共同研究も積極的に行っており、以下のような共編著があります。

『聖書解釈の歴史 新約聖書から宗教改革まで』（宮谷宣史共編、日本基督教団出版局、1986年）
『総説キリスト教史 1(原始・古代・中世篇)』（荒井献,出村みや子共著、日本キリスト教団出版局、2007年）

翻訳

出村彰は、海外の重要な神学書や歴史書を翻訳し、日本の読者に紹介する上でも大きな役割を果たしました。主な翻訳書には以下のようなものがあります。

『宗教改革史』（ベイントン、新教出版社、1966年）
『神の国』（アウグスティヌス、日本基督教団出版局、1968年）
『カルヴァン旧約聖書註解』（カルヴァン、新教出版社、1970-74年）
『エラスムス』（R.H.ベイントン、日本基督教団出版局、1971年）
『キリスト教入門 2 歴史』（日本基督教団出版局、1977年）
『清き心をつくり給え』（H.J.イーヴァント説教集、日本基督教団出版局、1980年）
『キリスト教歴史観入門』（ローランド・H.ベイントン、教文館、1980年）
『宗教改革著作集』（教文館、1984-2001年）
『セバスティアン・カステリョ 宗教寛容のためのたたかい』（ハンス・R.グッギスベルク、新教出版社、2006年）
『はじめてのカルヴァン』（C.エルウッド、教文館、2007年）
『カルヴァン歴史を生きた改革者 1509-1564』（ベルナール・コットレ、新教出版社、2008年）
『牧会者カルヴァン 教えと祈りと励ましの言葉』（ジャン・カルヴァン、新教出版社、2009年）

影響と評価

出村彰の研究と教育活動は、日本の神学研究に大きな影響を与え、多くの研究者や学生を育成しました。彼の著書や翻訳書は、現在でもキリスト教研究の重要な資料として広く読まれています。また、教育者としても、東北学院大学や宮城学院の発展に貢献し、多くの人々に敬愛されています。

参考文献

『キリスト教年鑑2015年版』（キリスト新聞社、2015年）
J-GLOBAL 出村 彰 - 2007年時点
出村彰宗教改革論集〈2〉ツヴィングリ―改革派教会の遺産と負債 - 紀伊国屋書店BookWeb

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