出馬康成

出馬 康成

出馬 康成（いずま やすなり）氏は、1963年（昭和38年）7月21日に大阪市天王寺区で生まれた日本の映画監督であり、作家としても活動しています。

代々医師の家系に育ち、父親の出馬淳名氏は同区で産婦人科を開業していました。また、母親の恒子氏は京都で江戸時代から続く医業の家系の出身で、その兄は小児科医でありながら陶芸家としても知られる加藤静允氏です。さらに、叔父にあたる出馬迪男氏はフジテレビの専務を務めた後に、関西テレビの社長を歴任しました（2019年逝去）。このように、医療界とメディア界、双方にゆかりのある家庭環境で育ちました。

幼い頃は体が弱く、外で遊ぶことが難しかったため、自宅に引きこもりがちでした。その頃、父親が所有していた8mmカメラに触れ、映画制作の真似事を始めたことが、映像の世界に興味を持つきっかけとなりました。中学時代には、学園祭で自ら撮影・制作した自主映画を上映し、この頃から将来は東京に出て映画の世界で働くという明確な夢を抱くようになります。

清風南海高校を卒業後、その夢を叶えるため上京し、東京造形大学デザイン科の映画コースで専門的な学びを深めました。大学在学中は、映画制作の傍ら、バンド『羊』を結成し、ギター、ボーカル、そして作詞作曲を担当するなど、音楽活動にも精力的でした。東芝EMIからオムニバスアルバムでデビューを果たし、新宿ロフトや原宿クロコダイルといったライブハウスを中心に、25歳頃までライブ活動を続けていました。

大学の卒業制作として手がけた映画『占いワルツ』がイメージフォーラムで公開され、才能の片鱗を見せます。さらに25歳の時には、自身が脚本・監督を務めた『シナドシティブルース』が中野武蔵野ホールで上映されるなど、若くしてその表現活動は多岐にわたりました。

プロの映画監督としての道を歩み始めるにあたり、小林悟監督のもとで助監督としての経験を積みました。その後、大蔵映画にて28歳で劇場映画監督として本格的にデビュー。同社で4本の作品の脚本と監督を担当しました。中でも、成人映画でありながら異例の注目を集めた『2045年・女の都』（公開タイトル『変態都市』）は、伊丹映画祭のクロージング作品として招待されるなど、その手腕は高く評価されました。

キャリアの途上、35歳の時には四谷三丁目交差点で深夜に交通事故に遭い、3日間の意識不明という瀕死の重傷を負い、半年間に及ぶ入院生活を送るという大きな試練に直面します。しかし、驚異的な回復を遂げ、再び創作活動の現場へと復帰を果たしました。

以降も精力的に作品を発表し続けており、映画「ソフテン！」、「残波 ZAMPA」、「ギフテッド フリムンと乳売り女」といった多様なテーマの作品を監督しています。2023年には監督最新作となる映画「CARモディファイズ」が公開されました。

映画監督として多くの作品を手がける一方、作家としても活動しており、『芸者の粋と意地 向島 花柳界に舞う女たちの生き様』といった著作も発表しています。その功績は第七回「日本映画エンジェル大賞」受賞監督という形でも称えられています。

主な作品

映画

『シナドシティブルース』（1988年）：監督、脚本、作詞作曲
『占いワルツ』（1989年）：監督、脚本、製作、音楽
『2045年・女の都』（公開タイトル『変態都市』）（1995年）：監督
伊丹映画祭クロージング作品として招待
『六本木フェイク 傷だらけの天使たち』（1997年）：監督、脚本
『ブルーフェイク』（1998年）：監督、脚本
『マブイの旅』（2002年）：監督、脚本
ぴあフィルムフェスティバルにて特別上映
『オバアは喜劇の女王　仲田幸子　沖縄芝居に生きる』（2011年）：監督、脚本、編集
沖縄国際映画祭にてドキュメンタリー映画として初上映
『ソフテン！』（2014年）：監督、脚本
『残波 ZAMPA』（2016年）：監督、脚本、編集
『ギフテッド　フリムンと乳売り女』（2018年）：監督、脚本、プロデューサー
『CARモディファイズ』（2023年）：監督、脚本

出版

『芸者の粋と意地 向島　花柳界に舞う女たちの生き様』

受賞歴

第七回「日本映画エンジェル大賞」受賞監督

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