函嶺洞門

函嶺洞門（かんれいどうもん）

函嶺洞門は、神奈川県足柄下郡箱根町湯本に位置する洞門です。かつては国道1号の一部として利用されていましたが、現在は通行が禁止されています。この洞門は、箱根の観光名所の一つであり、その歴史的・文化的価値から、多くの人々に知られています。

歴史と構造

函嶺洞門は、全長100.9m、幅員6.3mのRC構造（鉄筋コンクリート構造）のスノーシェッド形式の洞門です。これは、落石から道路を守るための施設として建設されました。大正末期から昭和初期にかけて、湯坂山の斜面からの落石事故が多発し、死者も出ていたため、1931年（昭和6年）に建設されました。洞門の建設により、落石の危険から解放され、安全な交通が確保されるようになりました。

バイパス建設と閉鎖

長年にわたり国道1号の一部として利用されてきた函嶺洞門ですが、いくつかの問題も抱えていました。2005年（平成17年）には、台風の影響で洞門の坑口付近で崩落が発生し、一時的に通行止めとなりました。また、洞門内の車道幅員が狭く、大型バスのすれ違いが困難であったため、慢性的な渋滞も発生していました。これらの問題を解決するため、2007年（平成19年）から函嶺洞門を迂回するバイパスの建設工事が始まりました。バイパスには、「函嶺もみじ橋（小田原側）」と「函嶺さくら橋（芦ノ湖側）」と名付けられた二つの橋が含まれています。そして、2014年2月7日をもって函嶺洞門は供用を終了し、通行禁止となり、フェンスが設置されました。

文化財としての価値

函嶺洞門は、その独特なデザインも特徴的です。箱根を訪れる欧米人を意識して、中国の王宮をイメージしたデザインが採用されています。また、その歴史的価値から、2005年（平成17年）には旭橋や千歳橋とともに「箱根地区国道1号の橋梁・洞門」として土木学会選奨土木遺産に登録され、2015年（平成27年）には国の重要文化財に指定されました。これは、函嶺洞門が日本の土木技術と文化を象徴する貴重な遺産であることを示しています。

近年の出来事

2020年5月には、函嶺洞門にスプレーによる落書きが28カ所も発見され、小田原警察署が器物損壊や文化財保護法違反の疑いで捜査を行いました。また、2024年1月には、箱根駅伝100回を記念して、閉鎖以来初めて一般公開されました。これは、函嶺洞門が地域の人々にとって、特別な存在であることを示しています。

その他

函嶺洞門は、東京箱根間往復大学駅伝競走（箱根駅伝）のコース上にあることでも知られていました。多くのランナーがこの洞門を通過し、その姿は多くの人々の記憶に残っています。

まとめ

函嶺洞門は、その歴史、構造、デザイン、そして文化的価値から、多くの人々にとって魅力的な場所です。かつては交通の要所として重要な役割を果たしていましたが、現在は静かにその歴史を伝えています。重要文化財としての価値を認識し、後世に継承していくことが重要です。

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