函谷関の戦い (紀元前241年)

函谷関の戦い

函谷関の戦い（かんこくかんのたたかい）は、紀元前241年に発生した秦と五国（楚、趙、魏、韓、燕）による合従軍の戦闘を指します。この戦いは、当時の戦国時代における重要な出来事であり、秦ののちの統一への影響を与えました。

背景

紀元前242年、秦の将軍蒙驁が魏を攻撃し、数多くの城を奪取しました。この攻撃によって、秦と残りの四国（楚、趙、韓、燕）は国境を接し、緊張が高まる結果となりました。この状況が、函谷関の戦いの引き金となったと考えられています。

合従軍の結成

紀元前241年に、趙、楚、魏、韓、燕の連合軍（合従軍）が秦に対抗すべく結成されました。合従軍の指揮を執ったのは楚の考烈王で、実際の戦略を春申君が担当しました。合従軍は秦陣営の寿陵を奪取し、函谷関への進攻を試みました。

戦闘の様子

秦軍は函谷関で合従軍を迎え撃ちました。この戦闘において、秦の指揮権は呂不韋が持ち、将軍としては蒙驁が戦闘を指揮したと考えられています。これは彼が過去に数回の戦闘で成功を収めており、合理的な推測です。

合従軍は、函谷関に加え、別働隊を編成し、趙の龐煖が率いる精鋭部隊が蕞（現在の始皇帝陵付近）を攻撃しましたが、ここでの攻撃は失敗に終わります。蕞の位置は秦の国都咸陽に非常に近く、秦はその存続を脅かされる事態となりました。

戦闘の結果

しかし、函谷関での戦闘において、秦軍は合従軍に対して成功を収め、合従軍は敗退しました。その後、合従軍は目標を斉に移し、饒安を占領した後に解散しました。この戦闘は、合従軍による秦攻撃の最後の試みとなり、その後秦は、次第に他の六国を併合していくことになります。

史記の記述

函谷関の戦いについては『史記』に記されているものの記述は簡素です。

• - 『秦始皇本紀』には、韓、魏、趙、衛、楚が共同で秦を攻撃した結果、秦が出兵し五国が退いたと述べています。
• - 『趙世家』では、龐煖が攻撃を試みたものの失敗したことが記されています。
• - 『春申君列伝』は、合従軍が秦に対抗するために結成され、函谷関での秦軍の攻撃により敗走したことを伝えています。

戦後の影響

函谷関の戦いは、戦国時代における合従軍による秦攻撃の最終的な戦闘であり、この戦い以降、六国は次々に秦に併合されていき、紀元前221年には秦が中国全土を統一することになります。この戦闘がもたらした影響は、単なる軍事的勝利に留まらず、後の中国史における大きな変革の一端を担ったのです。

参考文献

• - 島崎晋『春秋戦国の英傑たち』双葉社、2019年。
• - 仁志睦; 村田一成; 中村仁嗣; 市塚正人『始皇帝大全 ビジュアルブック』ぴあ、2020年。
• - 鶴間和幸『始皇帝全史』カンゼン、2019年。

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