刀根駅

刀根駅（とねえき）についての詳細

刀根駅は、福井県敦賀市刀根にかつて存在した日本国有鉄道（国鉄）の柳ヶ瀬線の駅でした。元々は北陸本線の信号場として開設され、その後、条件を満たして駅へと昇格しました。その立地は、刀根村の東側にある柳ヶ瀬トンネルの両端、および近隣の集落を見下ろす位置にあり、山の斜面の中腹に設けられていました。

駅の昇格と歴史

この駅は、1882年（明治15年）3月10日に初代の刀根駅として開業しましたが、1885年（明治18年）には廃止され、その後、1913年（大正2年）4月1日に同じ地点に刀根信号所が設けられました。1916年（大正5年）12月25日には駅に昇格し、2代目の刀根駅として旅客を迎えることになりました。その後、1957年（昭和32年）には木ノ本から敦賀間の新線開通に伴い駅の所属路線が柳ヶ瀬線に変更され、貨物や荷物の取扱が廃止されて駅員無配置の旅客駅となりました。そして1964年（昭和39年）5月11日に柳ヶ瀬線が廃止され、刀根駅もその役割を終えることとなりました。

地形と構造

刀根駅は、スイッチバック駅としても知られています。本線は25パーミルの勾配が続き、引き込み線の周辺に設けられた島式ホームが特徴です。駅の両端には側線が存在し、雪よけのための設備もありました。駅に停車しない下り列車は、引き込み線を通過することができていましたが、最終的に柳ヶ瀬線の運営が始まった際にはスイッチバックの機構は解除され、本線上に島式ホームが設置されました。

災害と改修

刀根駅の周辺は柳ヶ瀬トンネルの刀根側ポータルの影響を受けて、過去には数多くの水害や雪害に見舞われることがありました。これらの自然災害に対応するため、幾度も改修工事が行われてきました。駅の地域は元々は谷川が流れていた地点で、自然災害によって大きく崩壊したこともあります。戦前にはすでに大規模な造成が行われ、現在の状況では平らな道路として整備されています。

駅跡と現在

刀根駅跡は1977年（昭和52年）に北陸自動車道が開通した際に、一部が刀根パーキングエリアに転用されました。かつての駅の形跡はほとんど消え去っており、その位置さえも判別が難しい状態です。現在でも小刀根トンネル付近は日本最古の鉄道トンネルとして残っていますが、刀根トンネルは道路建設後に拡幅され、原型を失っています。

隣接する駅

刀根駅の隣に位置していたのは、雁ヶ谷駅と疋田駅でした。これらの駅は、刀根駅とともに地域の交通の一部を担っていましたが、現在は全て廃駅となっています。

刀根駅はその独特な立地、スイッチバックの機構、そして数多くの災害を乗り越えてきた歴史を持つ存在であり、地域の人々にとって長い間大切にされてきました。技術と自然が交錯する場であったこの駅の歴史は、今もなお興味を引きつけています。

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