分別論

『分別論』について

『分別論』（ふんべつろん、巴: Vibhanga、ヴィバンガ）は、パーリ仏典の中でも重要な位置を占める論蔵の一つであり、心の働きや物事の理解を深めるための指針を提供します。この経典は、物事を様々な視点から分別し、その本質を見極めることを目的としています。

構成

本書は、以下の十三の分別に関するセクションから構成されています。

1. 蘊分別（Khandha-vibhaṅgo）
ここでは、五蘊（物質、感受、認識、行、識）について詳細に解説しています。人間の存在を理解するためには、これらの構成要素を知ることが重要です。

2. 処分別（Āyatana-vibhaṅgo）
知覚の場、すなわち六処（眼、耳、鼻、舌、体、意）についての理解を深め、感覚の働きを探求する章です。

3. 界分別（Dhātu-vibhaṅgo）
地、水、火、風の四大要素を踏まえた界の分別について説明しています。これにより、物質世界の根源を探る視点が提供されます。

4. 諦分別（Sacca-vibhaṅgo）
四つの真理（苦、集、滅、道）を分別し、苦しみの本質を理解し、解脱へと導く道を示しています。

5. 根分別（Indriya-vibhaṅgo）
心身の機能を支える根本的な要素（五根）について分析し、精神的な成長に必要な資質を考察します。

6. 縁行相分別（Paṭiccasamuppāda-vibhaṅgo）
縁起の法則を詳細に説明し、すべての事象が他の事象によって成り立っていることの理解を深めます。

7. 念処分別（Satipaṭṭhāna-vibhaṅgo）
正念を実践する重要性を強調し、瞑想の実践方法に関する指針を提供します。

8. 正勤分別（Sammappadhāna-vibhaṅgo）
正しい努力の重要性について説明し、瞑想的な修行の進め方を示す章です。

9. 神足分別（Iddhipāda-vibhaṅgo）
精神的な力を育てるための四つの基盤を解説し、修行者が自らの能力を高める方法を示唆します。

10. 覚支分別（Bojjhaṅga-vibhaṅgo）
覚醒の支えとなる七つの要素について考察し、解脱への道に不可欠な要素を解説します。

11. 道分別（Maggaṅga-vibhaṅgo）
八つの適切な道を示し、正しい道を歩むための指針を提供します。

12. 禅定分別（Jhāna-vibhaṅgo）
精神的な集中の状態について説明し、修行者が得るべき成果を示しています。

13. 無量分別（Appamaññā-vibhaṅgo）
心の広がりを語り、無量の思想を理解するための指針を与えます。

14. 学処分別（Sikkhāpada-vibhaṅgo）
学ぶべきこと、なすべきことについての理解を深める章です。

15. 無礙解分別（Paṭisambhidā-vibhaṅgo）
悟りへの道を開くための解の詳細を提供します。

16. 智分別（Ñāṇa-vibhaṅgo）
知恵を深めるための教えを中心にした章で、知識の重要性を強調します。

17. 小事分別（Khuddakavatthu-vibhaṅgo）
小さな事柄における分別の重要性を示し、日常生活の中での心の使い方を説明します。

18. 法心分別（Dhammahadaya-vibhaṅgo）
法（真理）に対する心の持ち方を掘り下げます。

日本語訳

『分別論』の日本語訳は、南伝大蔵経として大蔵出版から発行されています。この経典は、仏教における真理の深遠さを理解するための貴重な手がかりを提供し、多くの人々に影響を与えています。

関連項目

この経典はパーリ経典の一部であり、論蔵の理解を深めるための根本的な資料となっています。

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