分岐群

分岐群（クレード）とは

分岐群（ぶんきぐん、クレード、英: clade）とは、生物分類学における重要な概念の一つで、ある共通の祖先から進化した全ての生物を含むグループを指します。これは、分岐分類学における単系統群（monophyletic group）や、進化分類学における完系統群（holophyletic group）と全く同じ意味を持ちます。

分岐群の特徴

共通祖先: 分岐群に属する全ての生物は、共通の祖先から進化してきたという共通点を持ちます。
系統関係: 分岐群は、生物間の進化的なつながり（系統関係）を正確に反映します。
単系統性: 分岐群は、単系統群である必要があります。つまり、ある祖先とその全ての子孫を含んでいる必要があります。

段階群との対比

分岐群の対義語として段階群（だんかいぐん、グレード、英: grade）という概念があります。段階群は、生物の進化的な段階や、類似したボディプランを持つ生物群を指します。

例として、伝統的な脊椎動物の分類体系を見てみましょう。この体系では、爬虫類というグループの中に、鳥類や哺乳類が含まれています。この場合、爬虫類は祖先的な段階群（ancestral grade）であり、鳥類や哺乳類はそこから進化した子孫的な段階群（descendant grade）とみなされます。また、爬虫類は両生類や魚類を祖先群として持ちます。

分岐分類学の観点

分岐分類学では、このような段階群は側系統群として扱われ、分類群としては認めないとする意見があります。分岐分類学では、分岐群（単系統群）のみが分類群として認められるべきだと考えられています。そのため、伝統的な爬虫類は、鳥類を含み、哺乳類（単弓類）を含まない分岐群として再定義される必要があります。

まとめ

分岐群は、進化の系統関係を正確に表すための重要な概念であり、生物の分類をより科学的に行う上で欠かせないものです。段階群との違いを理解することで、より正確な生物の分類体系を理解することができます。

関連用語

側系統群: 共通の祖先を持つが、全ての子孫を含まないグループ。
多系統群: 共通の祖先を持たない生物群をまとめたグループ。
分岐学: 生物の進化的な系統関係を研究する学問。
タクソン（分類群）: 生物を分類するための単位。

その他

ジュリアン・ハクスリー: 分岐群という用語を提案した人物。

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