分部光実

分部 光実（わけべ みつざね）

分部光実は、江戸時代中期から後期にかけての大名であり、近江国大溝藩の第8代藩主として知られています。彼は宝暦6年に大溝で生まれ、家族の中では父・分部光庸の長男であり、母は黒川氏です。光実は分部家の9代目として、藩の運営において重要な役割を果たしました。彼の官位は従五位下、左京亮でした。

生涯

光実は、天明5年（1785年）に父が隠居した後、その地位を継ぎました。彼は初めての領国入りを果たし、藩校「修身堂」を設立しました。この学びの場は、藩内の教育を振興するために重要な役割を果たしました。中村鸞渓を文芸奉行に任命し、学問と文化の発展に寄与しました。

また、心学に精通した中沢道二を藩に迎え入れるなどして、学問の発展にも力を注いでいました。しかし、藩内では博打が横行し、士風が衰退していたため、光実はそれを厳しく禁止して法令を制定し、人々の規範意識の向上を図りました。このようにして、藩の風紀を立て直すことに尽力したのです。

さらに、藩の財政が窮乏化していたことから、光実は率先して倹約を実践し、寛政3年（1791年）には大倹約令を発布しました。これにより、藩の財政基盤の再建を目指しました。彼の努力は、藩の発展に少なからぬ影響を与えました。

文化5年（1808年）に光実は53歳で亡くなり、その跡を次男の光邦が継いだと言われています。彼の生涯は、藩主としての役割を全うし、教育や法制度の改革に力を注いだことが特筆されています。

系譜

光実の系譜は、複雑な家族構成を持ち、彼の父は分部光庸、母は黒川氏です。正室は本多正珍の娘で、彼との間には長男・光弘、長女、次女、三女、四女などが生まれました。また、側室として小沢氏を持ち、次男・光邦など複数の子女が確認されています。

『寛政重修諸家譜』の記録によると、光実の子女は全部で8人で、さまざまな著名な家系と結びつきました。彼は、家族とともに分部家の家系を次世代に引き継ぐための基盤を作り上げました。

趣味嗜好

光実はまた、俳句や茶道などの文化活動にも興味を持ち、これらの趣味を通じても当時の文化をリードしていました。彼の活動は、単に藩政に留まらず、文化を大切にする姿勢が見られます。教育や文化、風紀を重視する姿は、今日の日本においても受け継がれる大切な価値観であると言えるでしょう。

分部光実は、その生涯を通じて大名としての責務を果たすとともに、教育や法令の整備に努めた人物で、近江国大溝藩の発展に貢献しただけでなく、文化的な側面でも大きな影響を及ぼしました。

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