刈谷市立富士松南小学校

愛知県刈谷市今川町に位置する刈谷市立富士松南小学校は、この地域に根差した歴史ある公立小学校です。今川町、泉田町、今岡町の各地区を学区としており、地域の子供たちが集う学び舎となっています。卒業後の進学先中学校は学区によって分かれており、今川町と今岡町の児童は刈谷市立富士松中学校へ、泉田町の児童は刈谷市立雁が音中学校へそれぞれ進むことになります。

沿革

本校の歴史は明治時代に遡ります。1908年（明治41年）3月31日、「富士松第一尋常高等小学校」として産声を上げました。創立間もない1911年には最初の木造平屋建校舎が建てられ、その後1934年にも同様の校舎が増築されるなど、教育環境の整備が進められました。時代が昭和に入り、1941年には富士松南国民学校へと改称。第二次世界大戦中の1944年8月には、戦火を逃れるため名古屋市広見国民学校の児童たちが本校や近隣校へ集団疎開してきました。彼らは地域のお寺などを宿舎として一時を過ごしましたが、翌1945年4月にはより安全な場所を求めてさらに内陸の額田郡へと再疎開していきました。戦後、教育制度が大きく変わり、1947年には富士松村立富士松南小学校となり、そして1955年には刈谷市との合併に伴い現在の名称である刈谷市立富士松南小学校となりました。創立50周年を迎えた1958年を経て、1970年代には施設の近代化が進みます。1971年には学区の一部が独立し、刈谷市立かりがね小学校が新設されました。1972年には25メートルプールが完成し、1977年には鉄筋コンクリート造りの北舎が、1979年には同じく鉄筋コンクリート造りの南舎がそれぞれ完成し、児童たちはより安全で快適な環境で学べるようになりました。そして2008年には、創立100周年という大きな節目を迎えました。

所在地とアクセス

学校の所在地は愛知県刈谷市今川町です。名鉄名古屋本線の富士松駅からは南西方向へ徒歩でおよそ8分程度の距離にあり、比較的容易にアクセスできます。学校の周辺には、富士松郵便局や刈谷紙器刈谷工場などがあります。

学校の特色と活動

富士松南小学校の活動の中で特に知られているのが、長年にわたり児童たちが取り組んでいるひまわり栽培です。1979年に始まったこの取り組みは、単なる栽培活動にとどまらず、世界的な記録を生み出しました。1984年には、学校で丹精込めて育てられたひまわりが驚異的な高さ490センチメートルに達し、当時の世界最高記録としてギネスブックに掲載されました。さらに1995年には、この記録を塗り替える503センチメートルの高さに達し、日本国内での最高記録を更新しています。このような特色ある教育活動や、地域社会との積極的な交流が長年続けられてきたことが評価され、2013年にはユネスコスクールとして認定されました。これは、持続可能な社会の担い手を育む教育を推進する学校として国際的に認められたことを意味します。また、学校行事として、2015年1月には元プロ野球選手の立浪和義氏が来校し、児童たちに野球の指導を行うなど、様々な分野で活躍する人物との交流機会も設けています。

ゆかりのある人々

本校からは、後に様々な分野で活躍する多くの人物が巣立っています。政治の世界では、愛知県議会議長を務めた岡本辰巳氏、そして参議院議員として国政で活躍する酒井庸行氏が本校の卒業生です。音楽分野では、ヴァイオリニストとして活動する神谷美和氏も本校で学びました。スポーツ界では、2000年のシドニーオリンピックのマラソン競技で日本代表を務めた陸上競技選手の佐藤信之氏が卒業生として挙げられます。また、過去には本校の講師として勤務した人物の中に、後に左翼運動や連合赤軍に関与した加藤倫教氏がいたことも記録に残されています。本校は、これからも地域と共に歩み、未来を担う子供たちの育成に力を注いでいきます。

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