刑事犬養隼人

刑事犬養隼人シリーズ

中山七里による推理小説シリーズ『刑事犬養隼人』は、警視庁捜査一課の刑事・犬養隼人を主人公とする作品群です。このシリーズは、当初はシリーズ化を想定せずに執筆されましたが、その人気から続編が制作され、シリーズとして確立しました。

シリーズの特徴

このシリーズの大きな特徴として、過去の有名なダークヒーローをモチーフにしている点が挙げられます。各作品で、切り裂きジャック、ハーメルンの笛吹き男、ラスプーチンといった歴史上の人物や伝説を彷彿とさせる事件が展開され、「命」をテーマにした物語が描かれます。また、シリーズを通して犬養隼人のキャラクターが深く掘り下げられ、彼の過去や内面が物語の進行とともに明らかになっていきます。

シリーズ一覧

1. 切り裂きジャックの告白
- 2013年4月26日に角川書店から単行本が発売されました。
- 2014年12月25日には角川文庫版が刊行され、副題に「刑事犬養隼人」が加えられました。
2. 七色の毒
- 2013年7月31日に角川書店から単行本が発売されました。
- 短編集であり、2015年1月24日に角川文庫版が刊行され、副題に「刑事犬養隼人」が加えられました。
3. ハーメルンの誘拐魔
- 『小説 野性時代』2014年10月号から2015年7月号に連載されました。
- 2016年1月29日にKADOKAWAから単行本が発売されました。
- 2017年11月25日に角川文庫版が刊行され、副題に「刑事犬養隼人」が加えられました。
4. ドクター・デスの遺産
- 『日刊ゲンダイ』2015年11月3日号から2016年4月30日号に連載されました。
- 2017年5月31日にKADOKAWAから単行本が発売されました。
- 2019年2月23日に角川文庫版が刊行され、副題に「刑事犬養隼人」が加えられました。
5. カインの傲慢
- 『本の旅人』2018年4月号から2019年1月号に連載されました。
- 2020年5月29日にKADOKAWAから単行本が発売されました。
- 2022年6月10日に角川文庫版が刊行され、副題に「刑事犬養隼人」が加えられました。
6. ラスプーチンの庭
- 『小説 野性時代』2019年8月号から2020年5月号に連載されました。
- 2021年1月29日にKADOKAWAから単行本が発売されました。
- 2023年8月24日に角川文庫版が刊行され、副題に「刑事犬養隼人」が加えられました。
7. ドクター・デスの再臨
- 『日刊ゲンダイ』2020年10月5日号から2021年4月1日号に連載されました。
- 2024年5月31日にKADOKAWAから単行本が発売されました。

主な登場人物

犬養隼人（いぬかい はやと）：
警視庁捜査一課の刑事。嘘を見抜く卓越した能力を持ち、その検挙率は非常に高い。クールな外見とは裏腹に、女性には弱い一面も。過去に二度の離婚歴があり、娘がいる。かつて俳優養成所に通っていた経験から、人の動作を分析する能力を身につけ、嘘を見抜く特技を習得。現場主義で、昇進には興味がない。

高千穂明日香（たかちほ あすか）：
警視庁捜査一課の刑事。少年犯罪に関心があり、生活安全課を希望していたが、捜査一課に配属された。子供の扱いに長けており、保育士のような雰囲気を持つ。

麻生（あそう）：
警視庁捜査一課の警部で、犬養の上司。無骨で癇癪持ちだが、部下をよく見ており、適切な指示を出す。現場にはあまり出ず、部下の成長を促すことを重視する。

豊崎沙耶香（とよざき さやか）：
犬養の娘。腎不全を患い、入院している。

豊崎成美（とよざき なるみ）：
犬養の最初の妻で、沙耶香の母親。すでに再婚している。

メディア展開

テレビドラマ

2015年に『切り裂きジャックの告白』がテレビドラマ化され、沢村一樹が犬養隼人を演じました。また、2016年には『七色の毒』を原作とする第2弾が放送されました。ドラマ版では、犬養の冷静沈着で鋭い洞察力を持つキャラクターが描かれています。

映画

2020年には、『ドクター・デスの遺産』が『ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-』として映画化され、綾野剛が犬養隼人を演じました。映画では、原作の持つサスペンスフルな展開がよりダイナミックに描かれています。

テレビドラマのキャスト

犬養隼人：沢村一樹
古手川和也：瀬戸康史
麻生警部：渡辺いっけい
御厨検死官：温水洋一
豊崎沙耶香：桜田ひより

まとめ

『刑事犬養隼人』シリーズは、中山七里氏の緻密な構成と魅力的なキャラクターによって、多くのファンを魅了し続けています。小説だけでなく、テレビドラマや映画など、様々なメディアで展開され、その人気は広がりを見せています。ダークヒーローをモチーフにした事件と、犬養隼人の過去や内面が描かれる物語は、読み応えがあり、一度読み始めると目が離せません。

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