本の旅人

『本の旅人』は、株式会社KADOKAWAが発行していた文芸[[雑誌]]であり、書籍PR誌としての役割も担っていました。読者と書籍との橋渡しとなることを目指し、角川書店創立50周年の記念として1995年に創刊されました。しかし、2019年7月号をもって休刊となり、その歴史に幕を閉じました。

本誌は、KADOKAWAから出版される新刊書籍の紹介に力を入れる一方で、小説やエッセイの連載、読み切り作品も積極的に掲載していました。そのため、読者は最新の書籍情報だけでなく、多様なジャンルの文学作品を楽しむことができました。

『本の旅人』は、定価が設定されていましたが、書店店頭での無料配布も行われていました。これにより、より多くの人が気軽に手に取ることができ、書籍との出会いの機会を広げる役割を果たしていました。毎月27日に発売され、読者にとっては毎月の楽しみの一つでした。以前は角川書店が発行しており、その歴史の中で多くの読者に親しまれてきました。

判型はA5判変形であり、手に取りやすいサイズ感でした。表紙は、升ノ内朝子氏が担当し、その美しいイラストが雑誌の魅力を引き立てていました。過去には、司修氏、木内達朗氏、西原理恵子氏など、著名なイラストレーターが表紙を手掛けたこともあります。これらの表紙も、雑誌のコレクションとしての価値を高めていました。

本誌に連載された作品の中には、山[[本兼一]]氏の『信長死すべし』のように、『オール讀物』編集部が主催する第2回本屋が選ぶ時代小説大賞の候補作に選ばれるなど、高い評価を得たものもありました。このように、連載作品の質の高さも、『本の旅人』の魅力の一つでした。

出版社が発行するPR誌としては、『IN★POCKET』（講談社）、『図書』（岩波書店）、『波』（新潮社）、『青春と読書』（集英社）などがあり、各出版社が独自の視点で書籍を紹介していました。

過去の主な連載作品としては、角田光代氏の『今日も一日きみを見てた』や『幾千の夜、昨日の月』、梯久美子氏の『昭和二十年夏、子供たちが見た日本』、黒岩重吾氏の『人に定めなし』、佐々木譲氏の『北帰行』、佐藤雅美氏の『口は禍いの門 町医北村宗哲』や『男嫌いの姉と妹 町医北村宗哲』、梨木香歩氏の『村田エフェンディ滞土録』、花村萬月氏の『希望（仮）』、葉室麟氏の『さわらびの譜』、林真理子氏の『西郷どん!』（2018年NHK大河ドラマ『西郷どん』原作）、森達也氏の『オカルト - 現れるモノ、隠れるモノ、見たいモノ』、山[[本兼一]]氏の『信長死すべし』、大島弓子氏の『グーグーだって猫である』など、多くの著名な作家による作品が掲載されていました。これらの作品を読むために、毎月楽しみにしていた読者も多かったことでしょう。

『本の旅人』は、読者と書籍をつなぐ大切な役割を果たし、多くの人々に愛された雑誌でした。休刊となった今でも、その存在は多くの読者の心に残っています。ウェブサイトには、過去の刊行物がアーカイブとして残されており、いつでも読むことができるようになっています。

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