崇峻天皇

崇峻天皇について

崇峻天皇（すしゅんてんのう）は553年頃に生まれ、592年12月12日に崇峻天皇として知られる日本の第32代天皇として在位しました（在位期間: 587年9月9日 - 592年12月12日）。本名は泊瀬部（はつせべ）。彼は「古事記」では長谷部若雀天皇と記載され、漢風諡号である「崇峻天皇」は淡海三船によって名付けられたとされています。この天皇は、日本史の中で唯一、臣下によって暗殺された天皇として歴史に名を刻んでいます。

系譜

崇峻天皇は、欽明天皇の第十二皇子で、母は蘇我稲目の娘である小姉君です。また、敏達天皇、用明天皇、推古天皇の異母弟にあたります。妃としては小手子（大伴糠手子の娘）、河上娘が存在し、蜂子皇子（波知乃子王）や定世親王といった子供たちを持っています。

即位の経緯

崇峻は、大臣の蘇我馬子によって推薦され即位しましたが、当時即位を望む他の皇族たちも多数存在しました。大連の物部守屋は、崇峻の同母兄である穴穂部皇子を即位させようとしましたが、彼は蘇我馬子によって暗殺されてしまいました。その後、蘇我馬子は物部守屋を倒し、物部氏は権力を失いました。崇峻の即位は、皇位継承に関する紛争を避けるための穏当な選択であったと考えられています。

暗殺の背景

崇峻天皇の治世は、権力の基盤が脆弱な中で様々な対立が生じました。彼は倉梯という山間部に宮を構え、蘇我氏と距離を置いたことが問題を引き起こしました。また、彼と蘇我馬子や前大后の豊御食炊屋姫尊との間には対立があり、このような状況下で崇峻の暗殺が発生することは予測可能なことでした。

崇峻が大伴糠手子との結婚を選んだことは、蘇我氏にとって脅威となり、また仏教の寺院・飛鳥寺の建立についても彼は反対していた可能性があります。さらに、598年に彼が軍を派遣したことも、抵抗勢力を刺激しました。これらの要因が重なった結果、592年に彼は暗殺されました。

暗殺の直接の原因としては、崇峻が猪を捧げた際に発言した内容が、蘇我馬子に警戒されることにつながり、その結果、彼は暗殺命令を下されました。崇峻の死は、天皇の暗殺としては唯一の確認された事例であり、葬儀が行われた当日であったこと、無陵地であったことが特徴です。

墓所

崇峻天皇の陵墓は奈良県桜井市の倉梯岡陵にあります。ここは、天皇の位牌を祀っていた金福寺が存在していたことから、陵地として選定されました。この陵は、皇霊殿において他の歴代天皇と共に祀られています。

まとめ

崇峻天皇は、日本史において特異な存在であり、彼の治世は権力闘争や宗教政策、外交問題など多くの課題を抱えていました。彼の暗殺は、皇室と蘇我氏との政治的対立の結果生じたものであり、後の推古天皇の即位へとつながる政治的変動をもたらしました。

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