初瀬ダム

初瀬ダムについて

奈良県桜井市に設置されている初瀬ダムは、一級河川である大和川の上流に位置する多目的ダムです。建設目的は、洪水調整、上水道用水の供給、さらには河川の維持用水の確保にあります。堤高は55.0メートル、堤頂長は212.5メートル、堤体積は165,000立方メートルを誇る重力式コンクリートダムです。

洪水調整機能

初瀬ダムは、降水量が209ミリメートルに達した際に計画される高水流量で、大和川の下流域での洪水防止を目的としています。ダム流域では、基本的に300立方メートル毎秒の流量のうち、220立方メートル毎秒をダムに貯留し、残りの80立方メートルを下流へ放流するという計画が立てられています。これにより、特に大雨の際にもダムが効果的に機能し、周辺地域を洪水から守る役割を果たします。

上水道の供給

このダムからは、日量最大2500立方メートルの水を取水できるため、桜井市の上水道の重要な水源として機能しています。利水容量は80,000立方メートルに達し、地域の住民に安定した飲水供給を可能にしています。

河川維持用水の放流

初瀬ダムは、灌漑期である6月15日から9月15日までの期間中、日量最大51,840立方メートルを放流し、その後は日量25,920立方メートルを放出します。これにより、下流の農業用水供給を支え、河川の生態系を維持することにも貢献しています。

まほろば湖の誕生

初瀬ダムによって形成されたダム湖の名前は「まほろば湖」と呼ばれています。この名称は1988年、地元の小学校からの公募によって選ばれました。名付けの由来としては、古事記に登場する倭建命の望郷歌に見られる「まほろば」が「素晴らしいところ」を意味することに基づいています。この命名は、森林やダム湖の重要性を通じて国民の理解を深めることを目的とした「森と湖に親しむ旬間」に合わせて行われました。

まとめ

初瀬ダムは多機能を擁し、地域の安全と生活に欠かせない存在となっています。洪水防止の他にも、上水道供給や河川環境の維持といったさまざまな面で重要な役割を果たしています。美しさを誇るまほろば湖は、多くの人々に親しまれており、自然と触れ合う貴重な場所として、訪れる人を惹きつけています。

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