別所沼

別所沼公園：歴史と自然が織りなす憩いの空間

さいたま市南区別所四丁目に位置する別所沼公園は、約8万平方メートルの広大な敷地を有する、都市部における貴重なオアシスです。かつてはウナギが生息する沼として知られ、江戸時代には浦和宿の名物の一つとして親しまれていました。現在も公園内には、その名残を偲ばせる浦和うなこちゃんの石像が設置されています。

豊かな自然と多様な施設

公園内は、緑豊かな樹木に囲まれた散策路や、子供たちが楽しめる大型遊具を備えた児童広場など、多様な施設が整備されています。特に、ラクウショウ（ヌマスギ）約500本、メタセコイア（アケボノスギ）約330本が植えられており、季節ごとに変化する美しい景観を創出しています。これらの樹木は、公園整備当初に植栽された松や桜が湿地のため生育不良に陥ったことを受け、湿地環境に適応する種類として選ばれたものです。

公園内には小川のような「流れ」と呼ばれる水路も存在しますが、別所沼は河川と接続していないため、現在生息しているウナギは放流されたものであり、自然繁殖によるものではありません。

武蔵[[浦和駅]]から公園までは、「花と緑の散歩道」と呼ばれる散策路が整備されており、春には桜、梅雨には紫陽花、秋には紅葉と、一年を通して多くの見物客で賑わいます。

公園の北西部には、ホテルや会議場などを併設したヘリテイジ浦和別所沼会館があり、夏期にはビアガーデンなども開催され、地域住民の憩いの場となっています。また、公園南側には管理事務所があり、2003年にはリュウゼツランが開花するなど、自然の驚異を間近で感じられる機会も提供しています。

歴史と文化の息づく場所

別所沼は、大宮台地の浸食によってできた谷底低地に湧き出した水が溜まって形成されたと考えられています。1926年には、深川の小島長次郎氏によって昭和園として整備され、屋形船や鯉の養魚場などが設けられ、大宮の氷川公園に匹敵するほどの賑わいを見せていました。沼の中央西側には弁天島が造られ、深川の洲崎神社より弁財天が分祀された別所沼弁財天も建立されました。

1951年には旧浦和市が昭和園を買い取り、別所沼公園として都市公園としての整備を開始。浦和市で初めてのボート乗り場が設置され、最盛期には40隻もの貸しボートが活躍していました。しかし、財政的な理由から、1956年には埼玉県に寄付されました。1957年には埼玉県立美術館（現在の埼玉県立近代美術館の前身）が建設され、美術展覧会の会場として利用されました。その後、浦和市立郷土博物館や浦和土木事務所として使用された後、解体されました。

2001年のさいたま市発足に伴い、公園の管理権が埼玉県からさいたま市に移管され、2003年には所有権もさいたま市に移管されました。2003年には、詩人立原道造が設計を構想した「ヒアシンスハウス」が完成しました。

近年では、護岸整備や噴水、ジョギングコースなどの整備が進められ、さらに2014年には87年ぶりのかいぼりを実施。水質改善と外来魚の駆除が行われ、沼の環境保全に貢献しています。

別所沼にまつわる伝承とイベント

別所沼には、沼の底に大蛇が住んでおり、どんな旱魃にも涸れないという伝説があります。かつては、日照りの際に大蛇を模したカヤを用いた雨乞いの儀式が行われていたと伝えられています。

また、2015年から2020年にかけては、「チャレンジ2020」というイベントが開催され、2020日間にわたって毎日フルマラソンが続けられました。

アクセス

JR埼京線中浦和駅から徒歩約5分、または浦和駅と志木駅を結ぶ国際興業バスを利用できます。

周辺環境

公園周辺には、埼玉大学教育学部附属中学校、埼玉県道40号さいたま東村山線（志木街道）、別所沼通り、花と緑の散歩道、高沼用水東縁、鴻沼川などがあります。別所沼公園は、自然、歴史、文化が調和した、さいたま市を代表する魅力的な公園です。

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