利正

利正元号の考証

利正（りせい）は、元の時代に雲南地域で使用された元号であり、特に段興智の治世に関連しています。この元号は1251年から1254年の間に存在した可能性がありますが、詳細な記録は限られています。元号の変遷や使用に関する研究は、歴史家たちによって様々に考察されてきました。

元号に関する先行研究では、いくつかの文献が段興智の元号として天定のみを挙げていますが、例えば楊慎の『滇載記』、阮元声の『南詔野史』、鍾淵映の『歴代建元考』などが含まれます。しかし、これらの中でも『南詔野史』の胡蔚増訂本では利正、興正、天定の順番で元号が記載されており、また李兆洛の『紀元編』でも同様の情報が確認できます。

李家瑞による考察では、段興智の死に際して元が与えた追贈名に天定賢王があることから、利益正や興正の元号も存在した可能性が指摘されています。特に、これらの元号がそれぞれ1年ずつ使用されたという予測がなされています。ただし、張増祺の研究では、段興智の在位期間が約3年であり、大理では通常、即位の翌年に元号が改元されるため、使われた期間は実質的に2年程度と考えられています。このことから、出土した故正直温良恭謙和尚の墓碑に「天定2年」との記載があることを根拠に、『南詔野史』に見られる3回の改元の信憑性については疑問が呈されています。

また、李崇智自身の研究によると、1253年に元軍が大理を制圧した際に用いられた元号は天定であり、その12月には段興智が逃亡し、翌年春に捕らえられたことから、短期間での改元が不可能であったとの見解が示されています。

参考文献

• - 李崇智　『中国歴代年号考　修訂本』（北京：中華書局，2001年1月）ISBN 7101025129　123, 136 - 137ページ。
• - 李家瑞「用文物補正南詔及大理国的紀年」（『歴史研究』1958年第7期）
• - 張増祺「大理国紀年資料的新発現」（『考古』1977年第3期）

関連項目

• - 元号一覧 (中国)

このように、利正に関する元号の考証は複雑で、様々な研究が存在していますが、依然として確定的な情報は不足しています。今後の考古学的な発見や文献研究によって、この元号の使用状況や他の元号との関係がさらに明らかになることが期待されています。

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