利神城

利神城の歴史と特徴

利神城（りかんじょう）は、兵庫県佐用郡佐用町平福に位置する歴史的な山城です。この城は国の史跡に指定されており、その重要性と独自の景観から多くの人々に愛されています。平福の地は、朝霧が美しいことで有名であり、江戸時代の初めには天守が存在し、霧の中に浮かぶ城の姿が、人々の記憶に残っています。特に「雲突城」という別名でも知られています。

城の概要

利神城は因幡街道の宿場町であった平福宿の北東、利神山（標高373m）の上に築かれた連郭式の山城です。城の構造は非常に巧妙で、最高点に本丸が設けられ、そこから南側には二の丸、さらに下に馬場があり、北東方向には鴉丸、西側には大坂丸、さらに西の下方には三の丸が配置されています。2017年10月13日には国の史跡として正式に認定されています。

歴史的背景

この城は、南北朝時代の1349年に赤松氏の一族、別所敦範によって築城されました。赤松氏の居城、白旗城の北の防衛拠点として重要な役割を果たしていました。しかし、1441年には嘉吉の乱が発生し、赤松氏とともに別所氏も一度は滅亡します。その後、1466年に別所氏の子孫、別所治定が城を奪回し城の運命が再び変わります。

戦国時代になると、織田信長の家臣である羽柴秀吉が中国地方へ攻め込む際、城主の別所定道は羽柴氏に従う意を表明しましたが、その後、病弱な兄に代わって城主となった林治は、別所長治が織田氏に反旗を翻したため、これに加わります。結果として、1578年に織田方に属していた上月城主、尼子勝久と彼の家臣、山中幸盛によって城は攻略され、利神城は落城しました。この後、毛利氏に仕官し続ける宇喜多直家の所有となりました。

宇喜多氏はその後、羽柴氏に従ったため、1600年の関ヶ原の戦いにおいて西軍の一員となり、改易されます。その後、池田輝政が播磨に入封し、1601年に甥の由之に平福領を与えることになります。由之は城を大改修し、三重の天守と石垣を構築、城下町を整備しました。しかし、輝政はその豪華さを警戒し、天守を破却するよう命じました。

1609年、由之は転出し、この時点で主要な建築物は既に取り壊されていました。1615年には、輝政の子息である輝興が平福藩として立藩し城主となりますが、1631年に赤穂藩を継承し、平福藩は廃藩となりました。利神城もこの時点で廃城となり、その後は松平氏の所領となりました。

現在の状況

現在、利神城の跡地は標高373メートルの山の上にあり、城の遺構や石垣の修復が行われています。2015年度からは本格的な整備工事も始まり、石垣の崩落の危険があるため無断での入城は禁止されています。ただし、ガイドツアーに参加することで三の丸までは登城が可能となっており、訪れる人々はその歴史を肌で感じることができます。

また、最近の調査では、御殿屋敷跡から礎石や堀、日常生活のアイテムも含まれる遺構が発見され、この城がかつて繁栄していた証明となっています。利神城はその文化的な価値から、今後も多くの観光客や歴史愛好者に親しまれることでしょう。

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