尼子勝久

尼子勝久とは

尼子勝久（あまご かつひさ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけての武将です。尼子氏の再興を目指し、山中幸盛らと共に戦いましたが、上月城の戦いで自害しました。

生涯

1553年、尼子誠久の五男として生まれた勝久は、幼少期に父や祖父が粛清されるという悲劇に見舞われます。しかし、小川重遠に助けられ、京都の東福寺で僧侶として過ごすことになりました。その後、1566年に尼子氏が毛利氏によって滅ぼされると、1568年に山中幸盛や立原久綱らに擁立され還俗し、尼子氏再興の旗頭となります。隠岐で機会をうかがった後、出雲に侵攻し、旧臣の支援を得て新山城に入城しますが、月山富田城奪還は失敗に終わります。

1570年には布部山の戦いで毛利軍に敗れ、京都へ逃れます。その後、因幡の山名豊国の支援を得て再び出雲への侵攻を試みますが、これも失敗に終わりました。

その後、織田信長の傘下に入り、羽柴秀吉の中国方面軍に付けられると、1577年には宇喜多直家の支城である上月城を攻略し、その守備を任されます。しかし、翌1578年、毛利氏が宇喜多氏と連合して大軍で上月城を包囲。秀吉は三木城攻略に専念することとなり、勝久らに撤退を命じますが、勝久らはこれに従わず籠城します。

最終的に上月城は陥落し、勝久は嫡男・豊若丸、兄弟の氏久、重臣の神西元通らと共に自害しました。享年26歳でした。これにより、大名としての尼子氏再興の望みは絶たれることとなりました。

一方、山中幸盛は捕虜となり移送中に斬殺されます。しかし、その後も尼子氏再興の動きは残り、亀井茲矩が秀吉の麾下で活躍し、因幡国鹿野、後に石見国津和野を拝領し、津和野藩として幕末まで続くことになります。

『陰徳太平記』における勝久

この時代の山陰山陽地方の興亡を描いた軍記物語『陰徳太平記』には、勝久が毛利方に降伏する際、山中幸盛ら捕虜となった家臣たちに別れの言葉を送る場面が描かれています。僧侶になるはずだった自身を尼子氏の大将にしてくれたことに感謝し、今後は命を大切にするよう諭す姿が描かれており、物語の山場の一つとなっています。しかし、この場面に立ち会った者は皆自害するか謀殺されており、このエピソードが事実に基づいているのか、香川正矩の創作なのかは不明です。

碑・供養塔

現在、以下の場所に勝久を偲ぶ碑や供養塔が建てられています。

尼子勝久公之碑（島根県松江市真山城址）
尼子勝久公四百年遠忌追悼之碑（兵庫県佐用町上月城址麓）

関連項目

尼子十勇士

登場作品

勝久は、以下の作品に登場人物として登場しています。

軍師官兵衛（2014年、演：須田邦裕）
戦国疾風伝 二人の軍師 秀吉に天下を獲らせた男たち（2011年、演：丸山敦史）
秀吉（1996年、演：高場隆義）

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