制輪子

制輪子：摩擦による制動の要

制輪子、あるいはブレーキシューは、ブレーキシステムにおいて摩擦力を利用して減速や停止を可能にする部品です。自動車、鉄道車両、自転車など、様々な乗り物でその働きが不可欠です。ディスク[[ブレーキ]]ではブレーキパッドと呼ばれる同様の部品が用いられますが、制輪子は主にドラム[[ブレーキ]]や踏面ブレーキといったシステムで使用されます。

自動車における制輪子

自動車のドラム[[ブレーキ]]では、制輪子に装着されたブレーキライニングが回転ドラムの内面に押し付けられ、摩擦によって制動力を発生させます。この摩擦熱は空気中に放散されます。現代の乗用車や軽商用車は、多くの場合、前後輪にディスク[[ブレーキ]]を採用していますが、一部の車種では後輪に、あるいはコストを抑えた廉価車種では全輪にドラム[[ブレーキ]]が採用される場合があります。

ドラム[[ブレーキ]]はディスク[[ブレーキ]]に比べて、熱の放散が遅く過熱しやすい、冠水や泥による制動力の低下が顕著、隙間調整が複雑で片効きのリスクが高い、ロック寸前のコントロールが難しいといった欠点があります。一方で、リーディング側とトレーリング側の組み合わせにより優れた制動力を得られる「自己サーボ作用」が働くため、パーキング[[ブレーキ]]と兼用される小型車後輪や大型車の全輪などに採用されています。また、4輪ディスク[[ブレーキ]]の車両でも、パーキング[[ブレーキ]]専用のドラム[[ブレーキ]]（ドラム・イン・ディスク）が搭載されることがあります。

オートバイでも、1970年代まではドラム[[ブレーキ]]が広く用いられていましたが、制動能力や耐フェード性、整備性の面でディスク[[ブレーキ]]に劣ることから、現在では小排気量車を除いてディスク[[ブレーキ]]への移行が進んでいます。しかし、レトロな車種や一部のオフロードバイクでは、そのシンプルさ、堅牢性、マイルドなブレーキフィールといった点から、現在でもドラム[[ブレーキ]]が採用されています。特にオフロードでは、ディスク[[ブレーキ]]が岩などに損傷を受けやすいのに対し、ドラム[[ブレーキ]]は比較的堅牢で、ワイヤー式であれば応急修理も容易な点が評価されています。

古い車両のドラム[[ブレーキ]]のメンテナンスでは、アスベストを含んだブレーキライニングが使用されている可能性があるため、ブレーキダストの飛散防止に細心の注意を払う必要があります。

鉄道における制輪子

鉄道車両の踏面ブレーキでは、制輪子が車輪の踏面に押し付けられ、摩擦によって制動力を得ます。同時に、車輪の踏面を研磨する効果もあります。

制輪子の材質には、鋳鉄、合成樹脂、焼結合金などがあり、それぞれに長所と短所があります。鋳鉄製は安価でブレーキ効果が高い一方、磨耗が早く頻繁な交換が必要です。高速域での制動力の低下も課題です。マンガンやクロムを添加した合金鋳鉄製は、高速域での性能が向上しています。合成樹脂製は軽量で磨耗が少ない一方、初期には摩擦面の鏡面化や雨天時の制動力の低下といった課題がありましたが、現在ではこれらの問題は解決されています。焼結合金製は、鉄粉、銅、黒鉛などを混合して焼結したもので、主に高速車両などに用いられます。

金属成分主体のライニングは欧州製に多く、日本製は樹脂系が多い傾向にあります。

自転車における制輪子

自転車のリムブレーキでは、制輪子が車輪のリムを挟み込み、摩擦によって制動します。安価な自転車ではゴム製の制輪子が、スポーツ用自転車ではゴムを被覆した金属製のものが主流です。スポーツ用は消耗が早いため、摩擦面のみを交換できるタイプも存在します。自転車用ディスク[[ブレーキ]]では、制輪子はブレーキパッドと呼ばれ、レジン製と金属製があります。

まとめ

制輪子は、様々な乗り物の安全な走行に不可欠な部品であり、その材質や設計は用途や性能要求によって異なります。それぞれの特性を理解し、適切なメンテナンスを行うことが重要です。

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