制限表面
制限表面とは
制限表面とは、航空機の安全な航行を目的として、飛行場の周辺空域に設定される仮想的な面のことです。この制限表面は、航空機の離着陸時に障害となる可能性のある建造物や樹木などの設置を制限するために設けられています。日本では、航空法によって制限表面より上空に構造物を設置したり、樹木を植えたりすることが原則として禁止されています。
制限表面に係る規制
航空法第49条により、空港の制限表面よりも上空に建造物や植栽などの物件を設置することは、原則として禁止されています。ここで言う「空港」とは、空港法に規定される「公共の用に供する飛行場」を指し、一般的に「○○飛行場」と呼ばれる飛行場も含まれます。ヘリポートも、設置経緯や規模によっては空港法の「空港」に該当する場合があります。
制限表面は、飛行場ごとに異なる形状で設定されています。また、一定の条件を満たす物件については、制限が緩和される場合があります。具体的には、仮設物、法令で設置が義務付けられている避雷設備、地形や既存物件との関係から航空機の安全を特に害さないと認められる物件などが挙げられます。
制限表面の種類
制限表面には、以下の種類があります。同一の点において複数の表面が重なる場合は、最も低い表面が適用されます。
進入区域: 着陸帯の短辺の両端から一定の距離にある点を結んだ平面。
進入表面: 着陸帯の短辺に接し、水平面と一定の勾配をなす平面。進入区域を投影した面。
水平表面: 飛行場の標点から一定の高さの水平面で、一定の半径の円の内側。
転移表面: 着陸帯の長辺や進入表面の斜辺に接し、水平面と一定の勾配をなす面。
延長進入表面: 進入表面を延長した平面。
円錐表面: 水平面の外縁に接し、水平面と一定の勾配をなす円錐状の面。
外側水平表面: 円錐表面の外縁に接する水平面。
内側進入表面、内側転移表面: より精密な計器着陸方式(ILS)に対応するための表面だが、日本では未設定。
これらの制限表面は、空港の規模や種類によって設定されるものが異なります。また、延長進入表面、円錐表面、外側水平表面は、一定の要件を満たす空港にのみ設定されます。
その他の制限表面等に関連する規制
制限表面以外にも、航空機の安全な運航を妨げる行為を規制する様々な規則が存在します。
打ち上げ等の禁止: ロケット、花火、気球などを特定の空域で打ち上げたり、飛行させたりすることが禁止されています。
高度変更禁止空域: 特定の空域では、航空機の高度変更が制限されています。
飛行通報: 特定の空域で、ロケット、花火、気球などを打ち上げる場合は、事前に国土交通大臣への届出が必要です。
これらの規制は、航空機の安全を確保するために重要な役割を果たしています。
用語解説
航空交通管制区: 地上から一定の高さ以上の空域で、国土交通大臣が指定する空域。
航空交通管制圏: 空港とその上空の空域で、国土交通大臣が指定する空域。航空交通管制区よりも狭い範囲。
航空交通情報圏: 航空交通管制圏が設置されない空港とその上空の空域で、国土交通大臣が指定する空域。
その他の規制空域
制限表面や打ち上げ等の禁止に関する空域規制以外にも、以下のような規制空域が存在します。
飛行禁止区域/飛行制限区域: 国土交通省告示によって指定される、航空機の飛行が禁止または制限される区域。軍事施設周辺や災害発生時などが該当。
民間訓練試験空域: 民間の航空機訓練に使用される空域。
自衛隊・在日米軍の射爆撃場に係る制限空域: 自衛隊や在日米軍の訓練に使用される空域。
米軍制限空域: 在日米軍が管理する空域。
これらの規制空域は、航空機の安全な運航と、国防上の安全を確保するために設けられています。
まとめ
制限表面は、航空機の安全な離着陸を確保するために不可欠なものです。制限表面に関する規制を理解し、安全な航空機の運航に協力しましょう。また、制限表面以外にも、様々な規制空域が存在することを理解し、航空機の安全な運航を妨げるような行為は慎みましょう。
本記事では、制限表面に関する基本的な情報をまとめました。より詳しい情報については、国土交通省のウェブサイトや関連資料をご確認ください。
*参考資料
もう一度検索
【記事の利用について】
タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。
【リンクついて】
リンクフリーです。