前島康彦

前島康彦

前島康彦（まえじま やすひこ、1910年9月26日 - 1988年12月10日）は、昭和期の日本において、造園家および造園史家として活躍した人物です。彼は、その専門知識と研究を通じて、日本の造園文化の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

前島康彦は東京で、野尻爻六・すね夫妻の子として生を受けました。彼は豊山中学校を卒業後、國學院高等師範部へと進学し、歴史学者の渡辺世祐や高柳光寿といった著名な学者から指導を受けました。1931年に同師範部を卒業しています。

職歴と業績

國學院高等師範部卒業後、前島康彦は博文館に勤務しました。その後、東京市に採用され、井下清課長のもとで公園行政に携わることになります。東京市では、公園に関する行政事務、そして公園機関紙の編集に専念しました。長年にわたる公園行政への貢献が評価され、1970年には第1回日本公園緑地協会北村賞を受賞しました。

前島康彦の研究は多岐にわたりましたが、特に宗教緑地に関する研究は彼の業績の中でも特筆すべきものです。彼は「宗教緑地論 : 社寺境内地の歴史的評価と公園緑地政策におけるその役割」と題した研究論文をまとめ、1983年に東京農業大学から農学博士の学位を授与されました。この研究は、社寺境内地が持つ歴史的・文化的価値を再評価し、公園緑地政策におけるその役割を明確にするものでした。

また、前島康彦は著述家としても知られており、東京公園文庫シリーズをはじめとする多くの著作を執筆しました。これらの著作を通じて、彼は一般の人々にも造園や公園に関する知識を広め、日本の造園文化への理解を深めることに貢献しました。

参考文献

東京の公園110年
署名なし「彙報 卒業生」『國學院雜誌』第37巻第5号、國學院大學、1931年。
編集係「前島康彦博士年譜及び『武蔵野』著作目録」『武蔵野』第68巻第1号、武蔵野文化協会、1989年、57-58頁、ISSN 0914-0514。
「都市計画Who was Who」 日本都市計画学会

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