前橋空襲

前橋空襲

前橋空襲は、第二次世界大戦中の1945年8月5日から6日にかけて、群馬県前橋市を襲ったアメリカ軍による空襲です。この空襲は、日本本土[[空襲]]の一つであり、前橋市に甚大な被害をもたらしました。

空襲前の状況

群馬県への敵機侵入は1944年11月7日が初めてで、前橋への初飛来は12月23日でした。しかし、この時点では大きな被害はありませんでした。1945年7月10日には、小型艦載機70機による襲撃があり、前橋市内で死者2名、建物1棟半壊の被害が発生しました。同月18日にはF6Fによる襲撃、同月29日にはB29による伝単散布が行われ、空襲への緊張感が高まっていました。

防空体制

前橋市では、1941年12月23日に防空監視哨を設置し、前橋公園地下などに公共の防空壕を整備しました。また、各町でも独自の防空壕を設置するなど、空襲に備えた対策が行われていました。

空襲の概要

経過

8月3日、4日には、米軍機が伝単を投下し、市民の間で疎開や避難が進みました。8月5日には、警戒警報と空襲警報が発令されたものの、日中は敵機の襲来はありませんでした。しかし、午後9時45分に空襲警報が再度発令され、午後10時30分には米軍機が前橋上空に到達。照明弾投下後、焼夷弾による爆撃が1時間15分に渡って行われました。爆撃中には雨が降り出し、一時的に豪雨となりましたが、空襲は深夜まで続きました。

アメリカ側の記録

アメリカ軍の記録によると、B29爆撃機102機がテニアン島から出撃し、うち92機が前橋を空襲しました。使用された爆弾は、焼夷弾773.2トン、破砕爆弾19.8トン、一般爆弾15.2トンの合計808.2トンにも及び、前橋市には焼夷弾691.0トン、破砕爆弾17.6トン、一般爆弾15.2トンの合計723.8トンが投下されました。米軍側に死傷者はなく、全機無事に帰還しました。

被害

前橋空襲によって、前橋市内の20,871戸のうち、11,460戸が全焼、58戸が半焼し、535名が死亡、600名以上が負傷しました。市域の22%が罹災し、人口の65.2%が被災しました。特に市街地は壊滅的な被害を受け、多くの建物が焼失しました。

町別被害状況

（表は省略）

近隣自治体の被害

（表は省略）

建造物の被害状況

官公署、学校、会社・工場、銀行、医療機関、神社、寺院、教会、映画館、交通機関、その他の施設など、市内の多くの建造物が焼失、破壊されました。特に、前橋税務署、前橋警察署、前橋郵便局などの官公庁や、若宮国民学校、県立前橋高等女子学校などの学校施設は全焼しました。また、多数の工場や銀行も被害を受け、市内の機能が大きく低下しました。臨江閣は一部損傷を受けましたが焼失は免れました。

比刀根橋防空壕の惨事

比刀根橋付近の防空壕では、周囲の火災による煙と熱気で避難者が窒息し、12人が壕内で、10人が付近で死亡するという痛ましい事故が起きました。この惨事を悼み、昭和51年4月5日には追悼碑が建立されました。

空襲後

遺体収容

空襲後、遺体は橋林寺、男子師範学校校庭、孝顕寺などで収容され、火葬・埋葬されました。身元不明者は亀泉霊園に埋葬されました。

交通機関の復旧

上毛電気鉄道は全線復旧しましたが、東武鉄道の路面電車は翌年まで復旧しませんでした。群馬合同バスは数日で復旧しました。

8月14日の空襲

8月14日には、前橋を含む周辺地域が再び空襲を受けました。この空襲では前橋市内の被害は少なかったものの、近隣の村では被害が出ました。

資料館

前橋市住吉町二丁目自治会が運営していた「あたご歴史資料館」は2020年に閉館しましたが、前橋市は2024年度中に「前橋空襲と復興資料館（仮称）」を開設する予定です。

まとめ

前橋空襲は、前橋市に甚大な被害をもたらした悲劇でした。この空襲の教訓を後世に伝えるため、資料館の開設などの取り組みが進められています。

脚注

（脚注は省略）

参考文献

前橋市史編さん委員会『前橋市史 第五巻』1984年。
前橋市戦災復興誌編集委員会 編『戦災と復興』前橋市役所、1964年。

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