前田利興

前田利興（まえだ としおき）

前田利興は、江戸時代中期の越中富山藩の第3代藩主です。

生涯

延宝6年（1678年）に第2代藩主・前田正甫の次男として富山で生まれました。宝永3年（1706年）に父の死去に伴い家督を相続し、藩主となりました。

藩主就任後、利興は藩の財政再建を最重要課題と捉え、様々な藩政改革に着手しました。具体的には、藩士60名のリストラ、年貢連帯責任制の強化、奢侈禁止令の実施、タバコや醤油などの流通統制などを実施しました。しかし、正徳3年（1713年）の増上寺手伝い普請、正徳4年（1714年）の富山城本丸焼失、享保8年（1723年）の富山城石垣普請など、相次ぐ出費が重なり、1万7000石もの借財を抱えることとなり、財政再建は思うように進みませんでした。

享保9年（1724年）には、土蔵に籠居するという奇異な行動に出たため、藩内は大きく動揺しました。その結果、利興は隠居を余儀なくされ、家督は実弟で養子の利隆に譲られることとなりました。享保18年（1733年）5月19日、56歳でこの世を去りました。

利興は、富山の名産として知られる鱒寿司を、家臣の吉村新八から献上されたものを将軍・徳川吉宗に献上した人物としても知られています。これが鱒寿司が広く知られるきっかけになったと伝えられています。また、利興は将棋を愛好し、『将棊図彙考鑑』に初段として掲載されるほどの腕前であったようです。

系譜

父：前田正甫
母：須磨（加藤氏）
正室：富紀（前田利直の娘）
側室：木村氏
男子：亀千代
養子：前田利隆（実弟）

もう一度検索