前田治脩

前田治脩（まえだ はるなが）

前田治脩は加賀藩の第10代藩主であり、加賀前田家の11代目にあたります。彼は第5代藩主・前田吉徳の末子として生まれ、藩主となった5人の中では最後の存在とされています。治脩の生涯を辿ることにより、当時の加賀藩の歴史やその背景を知ることができます。

生い立ちと若年期

治脩は1745年、父・前田吉徳が亡くなる約5ヶ月前に生まれました。幼名は時次郎で、彼の立場は藩主の十男ということで非常に低く、藩主の地位にはほとんど縁がない存在でした。生後まもなく、彼は越中勝興寺の住職に定められ、翌年には名を尊丸に改めました。1761年、17歳で得度し闡真と名乗りますが、その後に兄たちが次々に早世するという運命に見舞われます。

明和3年には、藩主・重教が政を継いだものの、重教も男子を持たなかったため、治脩は重教の命令で還俗し、再び俗名の時次郎に戻しました。この後、名を利有と改め、金沢に移り住むこととなります。特に金沢への道中、彼がつけた日記は非常に評価が高く、彼の資質を垣間見ることができます。

藩主としての活動

1771年、重教から家督を譲り受け、徳川家治より偏諱を受けて治脩と名付けられました。

その後、1792年には藩校の明倫堂と経武館を創設しており、ここでは漢学と武道を学ぶことができる場所が提供されました。明倫堂の学頭には新井白蛾が招かれ、優れた教育環境を築くことに貢献しました。治脩は教育の重要性を強く認識しており、藩士たちの教養向上を図りました。

家族と後継者問題

藩主として治脩は自らの男子をもうけることを望み、側室の伊遠との間に裕次郎（利命）が生まれましたが、彼は6歳の若さで夭折しています。また、長男の斉敬も襲封前に亡くなり、次男の斉広に家督を譲りました。このように治脩は多くの家族の死を経験しながらも、藩の運営に努めていました。

晩年と死

治脩は1810年に66歳でこの世を去りました。彼の生涯は激動の時代において藩を支える重要な役割を果たし、治脩の行いはその後の加賀藩にも影響を与えていきました。

系譜

治脩の系譜は非常に複雑で、父の吉徳をはじめ、母・夏、正室の法梁院、側室の智光院など、彼を取り巻く人々も一つの物語を作り上げています。また、長男利命、養子の斉敬や斉広、そして娘の藤姫も重要な存在です。

こうした家族の関係や治脩の藩政運営は、加賀藩の歴史を語る上で欠かせない要素となっています。

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