剣埼 (給油艦)

剣埼（つるぎざき）

剣埼は、日本海軍が保有していた給油艦であり、運送艦としても使用されていました。この艦名は三浦半島の剣埼に由来しています。剣埼は「志自岐」に次ぐ2隻目の海軍タンカーであり、特に港内での重油補給を主な任務としていました。さらには、日本海軍初のディーゼル推進艦でもあり、その技術は当時の海軍における革新を代表していました。

艦歴

計画と建造

剣埼は1916年に計画され、その年の八四艦隊計画に括られていました。当時の戦艦や巡洋戦艦は約1,100トンの重油を必要としていましたが、従来の300トン積みの重油船ではその運搬に時間と労力がかかっていました。そこで、大正5年度の軍備補充費から資金を捻出し、1,100トン積の給油船を1隻建造することが決定されました。

艦の命名は1916年6月26日で、竣工は数度の延期の後、1917年11月30日に達成されました。

機関

初めの計画ではディーゼルエンジンを採用する意向がありましたが、適切なエンジンが見つからなかったため、結局レシプロエンジンを使用することになりました。その後、浦風型駆逐艦に搭載されなかったディーゼルエンジンを流用し、2軸推進に変更されました。しかしながら、竣工後のエンジンは信頼性に乏しく、維持管理に課題がありました。特に、航海中にはエンジンが頻繁に停止し、進行に支障をきたす場面が多々ありました。

そのため、1918年に横須賀海軍工廠で修理を行い、エンジンの性能改善が図られました。これらの改造により、エンジン停止の問題は解消されましたが、他のポンプとの相性には未解決の問題が残っていました。

任務

剣埼は竣工後、内地間での輸送任務を担い続けました。1920年には特務艦に類別されるなど、その地位が明確化されました。1926年には第4予備艦として呉港に係留される状態となり、1934年には除籍されました。

快鳳丸への移管

除籍後は1935年に農林省に移管され、「快鳳丸」と改名されました。農林省の所管のもと、北方漁業を保護するために運用され、太平洋戦争開戦以降も気象観測や哨戒任務に従事しました。1945年には特設砲艦として海軍に復帰しましたが、同年の4月には敵艦によって沈没しました。剣埼から快鳳丸への歴史の変遷は、この艦の多面的な役割を物語っています。

歴代艦長

剣埼を指揮した艦長たちは、以下のように代わっていきました：

• - 小山田繁蔵 中佐：1917年11月8日 - 12月1日
• - 丸橋清一郎 中佐：1917年12月1日 - 1919年11月20日
• - 野村仁作 中佐：1919年11月20日 - 1920年11月12日　など

特務艦長としても多くの指揮官が就任し、艦の運用に貢献しました。

こうして剣埼は日本海軍における重要な艦船としての役割を果たし、その技術革新や歴史は多くの人々に記憶されています。

もう一度検索