浦風型駆逐艦

浦風型駆逐艦

浦風型駆逐艦は、大日本帝国海軍が明治44年度計画に基づいて建造した駆逐艦の艦級です。同型艦は2隻存在します。

概要

本型は、白雲型以来となる外国発注艦であり、イギリスのヤーロー社で建造されました。当初はディーゼルエンジンを搭載する予定でしたが、第一次世界大戦の勃発により、ドイツ・フルカン社の減速ギアが入手困難となり、タービンのみの搭載となりました。江風は建造途中にイタリアへ売却されました。浦風に搭載予定だったドイツ・バーマイスター式直立4サイクル単動ディーゼル2基は、中立国経由で日本に送られ、給油艦「剣埼」に搭載されました。

同型艦

浦風（うらかぜ）
仮称艦名は第三十五号駆逐艦。1915年（大正4年）9月14日にイギリスのヤーロー社で竣工。主に中国方面で活動しました。1936年（昭和11年）7月1日に除籍され、船体は横須賀海兵団の練習船として使用されました。1945年（昭和20年）7月の空襲により浸水着底し、戦後に解体されました。
江風（かわかぜ）
仮称艦名は第三十六号駆逐艦。イギリスのヤーロー社で建造。1916年（大正5年）8月7日にイタリアへ譲渡され、「アウダーチェ」(Audace) と命名されました。1943年にドイツ軍の手に渡り「TA20」と改名。1944年11月1日、イギリス駆逐艦の攻撃により沈没しました。

駆逐隊の変遷

浦風型は江風を売却したため、浦風単艦となり、独自の駆逐隊を編成しませんでした。大正4年12月1日、同じ横須賀鎮守府籍の海風型駆逐艦からなる第一艦隊第一水雷戦隊第十六駆逐隊に編入されました。同月13日に十六駆は第二艦隊第二水雷戦隊に転籍しますが、大正6年4月1日に浦風は十六駆から離脱したため、同時に二水戦を去っています。以降は横須賀鎮守府横須賀防備隊に所属。大正15年12月1日には第一遣外艦隊に編入され、揚子江方面の警備に従事しました。昭和7年2月2日、第一遣外艦隊は第三艦隊指揮下となります。昭和8年5月20日、第三艦隊第十一戦隊に編入。昭和11年6月18日、浦風は横須賀鎮守府予備艦となり、以降除籍までそのまま過ごしました。

十六駆の変遷は第十六駆逐隊を参照してください。

参考文献

国立国会図書館デジタルコレクション - 国立国会図書館
海軍省/編『海軍制度沿革』 巻4の1、海軍大臣官房、1939年。
海軍省/編『海軍制度沿革』 巻8、海軍大臣官房、1940年。https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1886716。
海軍歴史保存会『日本海軍史 第7巻』（第一法規出版、1995年）
艦船模型スペシャル No.17 日本海軍 駆逐艦の系譜 1
片桐大自『聯合艦隊軍艦銘銘伝』光人社、1993年 ISBN 4-7698-0386-9
日本舶用機関史編集委員会 編『帝国海軍機関史』 明治百年史叢書 第245巻、原書房、1975年11月。
福井静夫『福井静夫著作集第5巻 日本駆逐艦物語』（光人社、1993年）ISBN 4-7698-0611-6
福井静夫『写真 日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1。
堀元美『駆逐艦　その技術的回顧』（原書房、1969年）ISBN 4-562-01873-9

関連項目

* 大日本帝国海軍艦艇一覧

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