副島正純

副島正純

副島正純（そえじま まさずみ）は、1970年8月31日に長崎県諫早市で生まれ、現在も同市に拠点を置く日本の著名な車いすアスリートです。

競技との出会い

彼の人生は、1994年7月に大きな転機を迎えます。鉄工業を営む家業を手伝っていた際に、約300kgの重さがある鉄板が落下する事故に見舞われ、脊髄を損傷。この事故により、副島氏は車いすでの生活を余儀なくされました。しかし、この困難を乗り越え、新たな道へと進みます。事故から約1年後の1995年11月、彼は車いすレースの世界に足を踏み入れました。初レースは1996年6月のはまなす全国車いすマラソン大会で、ハーフマラソンの部で3位という好成績を収め、その才能の片鱗を見せました。

プロアスリートとしての歩み

2005年からは「シーズアスリート」に所属し、本格的にプロの車いすアスリートとして活動を開始します。以降、毎年主要な5大メジャーマラソン大会を含む20以上のレースに精力的に出場。競技においては、一般的なスリップストリームを利用して体力を温存する戦法とは異なり、スタート直後からリードを奪い、そのまま逃げ切る「先行逃げ切り」のスタイルを貫いています。この積極的なレース運びは、彼の代名詞となりました。

主な実績

副島氏は数々の国際的な大会で輝かしい成績を残しています。特に、ボストン、ベルリン、ニューヨークシティといった世界的に権威ある主要マラソン大会での優勝は特筆に値します。2007年にはボストンマラソンで日本人初となる優勝を飾り、同年9月にはベルリンマラソンでも日本人初優勝を達成。2011年11月にはニューヨークシティマラソンでも、部門を問わず日本人として初めて頂点に立ちました。

JALホノルルマラソンでは、2005年から2010年にかけて前人未踏の6連覇を達成するなど、特定の大会での圧倒的な強さも見せつけています。国内最高峰の大分国際車いすマラソンでも上位入賞の常連です。

また、オリンピックイヤーに開催されるパラリンピックにおいても実績を残しており、2004年のアテネパラリンピックでは、400×4mリレーで銅メダルを獲得。2012年のロンドンパラリンピックではマラソン種目で4位入賞を果たしています。

タイム面でも記録を更新し続けており、ソウル国際車いすマラソンでの日本新記録（当時）や、2011年ボストンマラソンで記録した自己最速タイム（1時間18分50秒）は、その速さを示しています。

これらの実績が評価され、2012年1月時点では車いすマラソンにおいて世界ランキング1位に君臨していました。

その他の活動と目標

副島氏は競技活動だけでなく、講演活動にも力を入れています。年間約30回以上、企業や学校などを訪れ、自身の経験や挑戦について語ることで、多くの人々に勇気や希望を与え、パラスポーツへの理解促進にも貢献しています。

現在もトップアスリートとして活躍を続けながら、車いすマラソンにおける世界記録の樹立を最大の目標として掲げています。その飽くなき挑戦は、多くの人々に感動とインスピレーションを与え続けています。

もう一度検索