副立行司

副立行司とは

副立行司（ふくたてぎょうじ）は、相撲における行司の階級の一つであり、立行司と三役格行司との間に位置していました。この階級は、1951年（昭和26年）の初場所後に新たに設けられ、1959年（昭和34年）の九州場所後には廃止されるまでの短い期間に存在しました。そのため、副立行司は相撲史において特異な役割を果たした存在といえます。

創設の背景

副立行司が創設された経緯については、詳細にわかる資料は少なく、その背景ははっきりしていません。ただ、1940年からの立行司制度の変遷を受けて、行司の役割の整理や階級の明確化を目的として創設された可能性があります。副立行司は、式守伊之助と同様の紫白色の装束を纏い、短刀や印籠、足袋、草履を着用していました。

待遇と役割

副立行司は、行司内での地位としては立行司に準じた待遇を受ける一方で、実際の番付においては立行司と同列に書かれていました。しかし、番付の字の大きさは立行司に比べてやや小さく、格下であることが示されていました。この階級における行司は、基本的には本場所の取組を2番裁く役割を担っていました。

当時の立行司である庄之助や伊之助がそれぞれ1番のみを裁いていたのに対し、副立行司は2番を担当することで、その役割に独自性を持たせていました。現代では庄之助は1番のみ裁く役割を持っており、この点でも副立行司の存在は興味深いものとなっています。

副立行司経験者

副立行司の制度が存在した期間中に務めた行司は、以下の3名です。

• - 木村玉之助（13代）

在位期間：1951年（昭和26年）夏場所～1959年（昭和34年）九州場所（定年退職）
この名跡は、相撲協会の東西合併時には立行司名であり、13代玉之助も1940年の夏場所昇格後は立行司でありましたが、副立行司制度が導入された際に副立行司に格下げされました。

• - 木村庄三郎（8代）

在位期間：1951年（昭和26年）夏場所のみ
この後、1951年の秋場所からは19代式守伊之助（通称：ひげの伊之助）に昇格します。

• - 木村正直（2代）

在位期間：1951年（昭和26年）秋場所～1959年（昭和34年）九州場所
この後、1960年の初場所からは23代木村庄之助（通称：正直庄之助）に昇格します。

終わりに

副立行司の制度は約8年間という短命であったものの、相撲の歴史の中で特有の役割を果たしていました。現在はその名残がないため、相撲における歴史的な階級の変遷を理解するための一つの興味深い事例となっています。

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