NHK総合テレビの「
NHKスペシャル」枠で、
2025年3月18日の夜10時から11時13分にかけて放送された日本の
テレビドラマです。
近年急速に発展する生成AIが生み出す
ディープフェイク技術を主題に据え、世界中で実際に起きた様々な事件や事象を綿密に取材。それらを基にドラマ部分を構成し、
ドキュメンタリー要素も交えながら、
ディープフェイクが現代社会にもたらす影響と、それに翻弄される人々の姿を鮮烈に描き出しています。
単なるSF的な物語ではなく、私たちの倫理観や現実認識を根底から揺さぶる、戦慄のドラマとして大きな反響を呼びました。
物語の概要
物語は、ある外資系保険会社で発生した大規模な顧客情報流出事件を起点に展開します。時を同じくして、同社の社員であった佐藤真奈美が不可解な死を遂げます。真奈美の夫である佐藤晃は、義妹にあたる真奈美の妹・洋子と共に、愛する妻の死の真相を探る旅に出ます。
その過程で、彼らは
ディープフェイク画像を専門に製作するあるベンチャー企業の存在に行き当たります。真相解明のため、元銀行マンである晃はそのベンチャー企業に中途採用という形で潜入。当初、
ディープフェイクの存在に懐疑的だった晃は、次第にその驚異的な精巧さとリアリティに圧倒されていきます。
技術への好奇心と亡き妻への深い思いから、晃は愛する一人娘、麗美のため、妻・真奈美の姿をコンピューター上の
アバターとして再現することを試みます。
ディープフェイクが生み出す虚構と、向き合うべき現実との間で激しい葛藤に苦悩する晃。その探求と苦悩の果てに、真奈美の死を取り巻く驚くべき真相が明らかになるのです。
出演者
佐藤 晃
演:
青木崇高
本作の主人公。妻の死の謎を追い、
ディープフェイク企業に潜入する元銀行員。
佐藤 真奈美
演:
入山法子
晃の妻。外資系保険会社に勤務中に突然命を絶つ。
洋子
演:
本仮屋ユイカ
真奈美の妹。姉と同じ保険会社で広報を務め、晃と共に真相を探る。
佐藤 麗美
演:
白山乃愛
晃と真奈美の一人娘。中学1年生。母の死後、父との関係に悩む。
坪倉 達也
演:
泉澤祐希
晃が再就職したベンチャー企業の上司。AIのエキスパート。
片平 瑛二
演:
星田英利
真奈美が勤めていた保険会社の専務。物語の鍵を握る人物。
スタッフ
脚本:
大石哲也
音楽:岡出莉菜
歌:
沼尾みゆき
撮影:西村博光、藤田岳夫
編集:小堀由起子
演出:四宮秀二
制作プロデューサー:宮田幸太郎
プロデューサー:鈴木真美
制作統括:葛城豪、紅粉達広、山根幸太郎
制作:NHK、パオネットワーク、
NHKエンタープライズ
受賞歴
本作は、
放送批評懇談会が選定する
ギャラクシー賞において、
2025年3月度の月間賞を受賞しました。さらに、第62回(2024年度)テレビ部門の奨励賞にも選ばれるなど、そのテーマ性と完成度が高く評価されています。
このドラマは、現代社会に深く浸透しつつある
ディープフェイク技術の光と影、そしてそれが人間の尊厳や真実にもたらす影響を問いかける意欲的な作品として、多くの視聴者に強い印象を残しました。