劇団牧羊犬

劇団牧羊犬

劇団牧羊犬（げきだんぼくようけん）は、日本の演劇団体です。日英バイリンガルのバックグラウンドを持つ作家・演出家の渋谷悠が主宰を務めています。2014年に演劇プロデュースユニットとして活動を開始し、2022年には本格的な劇団組織へと体制を変更しました。主宰の渋谷悠を中心に、俳優の井上薫、徳岡温朗、そしてプロデューサーの渋谷真樹子という4名のメンバーによって構成されています。

劇団の特色は、登場人物の心理を深く掘り下げた緻密な人間ドラマと、既存の枠にとらわれない大胆な構成力、そして映画のような映像的な演出表現にあります。これらの要素が高い次元で融合した作品は、多くの観客や批評家から注目を集め、着実に公演実績を重ねています。

また、劇団牧羊犬は公演の記録映像にも強いこだわりを持っています。複数台のカメラを用いて舞台を多角的に捉え、映画監督としても活動する主宰の渋谷悠自らが細部にわたって編集作業を監修しています。さらに、これらの公演映像に英語字幕を付与し、積極的に海外へと発信する取り組みを展開しています。特に、2021年に上演された第4回本公演『底なし子の大冒険』の英語字幕付き舞台映像は、世界各国の映画祭に出品され、複数の映画祭で入選や受賞を果たすなど、国際的な評価を獲得しています。

近年では、2023年の第6回本公演『夜の初めの数分間～画子とひまわりの場合～』が、「佐藤佐吉賞2023」において、最優秀脚本賞（渋谷悠）、最優秀主演俳優賞（客演の平体まひろ氏）、優秀作品賞、優秀助演俳優賞（井上薫）、優秀舞台美術賞の合計5部門に輝くなど、国内でもその実力が高く評価されています。

過去の代表的な公演の映像も高い評価を得ており、2015年の第2回本公演（初演）にあたる『狼少年タチバナ』の舞台映像は、門真国際映画祭2020の舞台映像部門で優秀作品賞をはじめ、優秀主演男優賞、優秀助演男優賞、優秀助演女優賞（井上薫）の4つの賞を受賞しました。これらの戯曲は、『底なし子の大冒険／狼少年タチバナ』として2022年秋に論創社より出版されています。

劇団の活動は舞台に留まらず、映画製作にも広がっています。2025年1月24日には、主宰の渋谷悠が脚本・監督を務める長編映画『美晴に傘を』の公開が恵比寿ガーデンシネマを皮切りに予定されています。この作品には、劇団員の井上薫と徳岡温朗も出演しており、劇団の培ってきた表現力が新たなメディアでも発揮されることが期待されます。

主な過去公演・受賞歴

• - 2023年 劇団牧羊犬第6回本公演『夜の初めの数分間～画子とひまわりの場合～』（王子小劇場）

- 佐藤佐吉賞2023：最優秀脚本賞（渋谷悠）、優秀作品賞など計5部門受賞。

• - 2022年 劇団牧羊犬第5回本公演『狼少年タチバナ』（恵比寿・エコー劇場）
• - 2021年 牧羊犬第4回本公演『底なし子の大冒険』（恵比寿・エコー劇場）

- 英字幕付き舞台映像が海外複数映画祭で受賞・入選。

• - 2017年 牧羊犬第3回本公演『ガラスの怪物』（下北沢 小劇場B1）
• - 2015年 牧羊犬第2回本公演『狼少年タチバナ』（テアトルBONBON）

- 舞台映像が門真国際映画祭2020舞台映像部門にて優秀作品賞など4部門受賞。

• - 2015年 牧羊犬Black Box#1『Visual Poetry』（サラヴァ東京）
• - 2014年 牧羊犬旗揚げ公演『國富家の三姉妹』（シアターグリーン Base Theater）

劇団牧羊犬は、その独創的な作風と映像への深い探求、そして国内外を視野に入れた積極的な活動展開によって、日本の演劇界において独特の存在感を示しており、今後の更なる飛躍が注目されています。

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