劇評 (雑誌)

『劇評』という演劇雑誌の歴史

『劇評』は、日本の演劇雑誌として多くの世代に影響を与えました。本記事では、これまでの『劇評』に関する歴史や、その特徴、そして異なる刊行形態を持ついくつかのバージョンについて詳しく見ていきます。

劇評（武智鉄二）

最初の『劇評』は、1939年に武智鉄二の手によって創刊されました。この月刊誌は1940年の3月までに12冊が発行され、誌面では歌舞伎や文楽、さらには宝塚歌劇、新劇など幅広い演劇ジャンルに関する評論が展開されました。特に武智の批評スタイルは自由自在で、既成概念に縛られない激烈な批評で知られ、当時の批評家たちの間でも高く評価されました。しかし、1939年10月以降、彼は『浄瑠璃雑誌』に移行し、その結果としてこの雑誌は廃刊となりました。

劇評（第一書店・劇評社）

二番目の『劇評』は、1950年に第一書店から創刊され、1959年まで続きました。この雑誌は主に歌舞伎を扱っており、「その月の芝居をその月に」というモットーのもと、毎月15日（後に18日）に公演初日の舞台写真や劇評が掲載されていました。安価で手に入ることから、特に学生や若手サラリーマンを中心に広く読まれました。

月々の劇評だけでなく、歌舞伎俳優の名簿や特別企画も展開され、劇評友の会という読者組織も設立され、観劇会や舞台稽古見学会などのイベントが企画されていました。しかし、1960年代に入ると、歌舞伎界の衰退と共に発行部数も減少し、最終的には1959年に休刊となりました。この時期には多くの著名な批評家が執筆に関与し、特に7代目市川海老蔵や6代目中村歌右衛門に関する記事が多く見られ、ファン向けの要素も強かったようです。

劇評（清水一朗）

1977年から2000年まで続いた『劇評』は、宇都宮市職員の清水一朗が編集したミニコミ・同人誌です。このバージョンでは、特定の公演に関して複数の批評を掲載したり、同人による合評会の記事が特徴としてあげられ、辛口の評価でも知られています。基本的には直接の購買者のみを対象としており、親密感のある出発点でした。

劇評（木挽堂書店）

最新の『劇評』は、2022年に木挽堂書店から発刊され、古書店としての役割を担いながら演劇評論の継承を目指しています。『演劇界』が休刊したことを受けての出版であり、古今の舞台に対するさまざまな視点を提供することを意図しています。発行部数は500部と少数ながらも、大学教授や演劇評論家が関わり、劇評やコラム、歌舞伎界の動向を取り上げています。

まとめ

『劇評』はその長い歴史を通じて、日本の演劇界における独特の立ち位置を築いてきました。各時代のニーズに合わせた形式で発展し続け、どの時代の『劇評』も、その時期の演劇シーンを色濃く反映しているのが特徴です。今後も彼らの活動がどのように展開されていくのか目が離せません。

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