劈掛掌

劈掛拳：中国武術の一種

劈掛拳（ひかけん）は中国の武道で、特に河北省滄州を起源としています。この武術の名前には、上から切り下ろす「劈」と下から打ち上げる「掛」という動作が含まれています。劈掛拳の最大の特徴は、腕を大きく振り回して攻撃する技法です。この流派は古くは披挂拳とも書かれ、多くの場合、手を使った技術が多いため「劈掛掌」という別名でも知られています。著名な使い手には、黄林彪や馬鳳図、そして彼の弟である馬英図などがいます。なお、日本語においては「劈」という漢字は本来「へき」と読むべきですが、中国語の発音「pi」に基づいて「ひ」と呼ばれることが一般的です。本項目ではこの慣例に従っています。

特徴

劈掛拳の動作は、全身の力を抜き、腰を支点にして上半身を上下左右に振ることから始まります。両腕を風車のように動かし、曲線的な歩法で相手の側面や背後に回り込みます。これにより、相手に反撃の隙を与えないという連続攻撃が実現します。また、遠心力を利用した打撃は、鞭のように鋭く、力強いです。この特性を示す言葉に『放長撃遠』があり、遠距離での戦闘に特化した動きが求められますが、接近戦用の技法も備えています。

技のスタイルとしては「鷹翅蛇身」があり、手の動きは鷹の羽、身は蛇のように流れることが求められます。劈掛拳では体を前後左右に動かし、相手の攻撃を避けながら防御するスタンスを取ります。これにより、相手の攻撃を斜めや横から遮り、自ら有利な攻撃体勢を構築することが可能です。

歴史ある套路には「劈掛拳」「青龍拳」「大架子」があり、馬鳳図によって新たに作られた「飛虎拳」と「太淑拳」があります（これらは通備劈掛拳に含まれる）。

八極拳との相性

劈掛拳は八極拳と非常に強い相性を持っています。この二つの武術は、互いの得意分野と弱点を補完し合うことが可能です。八極拳は主に接近戦を得意とする一方、劈掛拳は遠距離からの攻撃を得意としています。八極拳の剛直な動きに対して、劈掛拳の柔らかな動きが対照的で、移動法においても八極拳が直線的な歩法を用いるのに対し、劈掛拳は曲線的な歩法を利用します。このように、二つの武術が相互に補完し合うため、『八極と劈掛を共に学べば神でさえ恐れる』という表現が生まれました。

メディアにおける劈掛拳

劈掛拳は、様々なメディアでも取り上げられています。漫画では『拳児』や『史上最強の弟子ケンイチ』、さらには『FAIRY TAIL|FAIRY_TAIL』や『バキ外伝 烈海王は異世界転生しても一向にかまわんッッ』などがあります。また、ゲームにも登場しており、例えば『ファイターズインパクト』や『鉄拳シリーズ』のリン・シャオユウ、『デッド オア アライブ シリーズ』のエレナ、『ザ・ランブルフィッシュ』のハザマ、そして『アカツキ電光戦記』のマリリン・スーなどが挙げられます。さらに、ゲーム『JUDGE EYES:死神の遺言』においては、八極拳と併習した「神室町流」として描かれています。これにより、劈掛拳は多様な文化に影響を与え、広く認識されている流派であることがわかります。

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