拳児

拳児

『拳児』は、松田隆智原作、藤原芳秀作画による日本の漫画作品。1988年から1992年まで『週刊少年サンデー』（小学館）に連載されました。中国武術をテーマにした格闘漫画でありながら、主人公・剛拳児の成長を通じて、武術の技術論や思想・哲学を描いた作品です。

作品の特徴

本作は、単なる格闘シーンだけでなく、中国武術の奥深さを追求しています。ストーリーはフィクションですが、現実の武術史や実在した武術家のエピソードが多数紹介されており、武術ファンからも高く評価されています。特に、主人公が学ぶ八極拳はダイナミックに描写されていますが、漫画的な誇張も含まれています。

あらすじ

東京で暮らす小学生の剛拳児は、祖父・侠太郎から八極拳を学び、正義感の強い少年に成長します。しかし、侠太郎が中国へ渡り消息を絶ってしまう。中学、高校時代を経て、拳児は横浜で張仁忠に出会い、本格的に八極拳の修行を始めます。不良グループとの抗争事件をきっかけに無期停学処分となり、侠太郎を探すため中国へ旅立つことを決意します。

台湾で蘇崑崙に師事し、八極拳や蟷螂拳など様々な武術を修行。香港を経て中国へ渡り、嵩山少林寺で祖父と再会を果たします。その後、宿敵トニー・譚との決闘に勝利し、無事帰国。修行を通じて、仁義礼智信厳勇の七つの心得を備えた八極拳の正式な門人として認められます。

主要登場人物

剛 拳児（ごう けんじ）
本作の主人公。正義感が強く、負けず嫌いな性格。幼少期から祖父・侠太郎に八極拳を習い、様々な武術を学びながら成長していきます。
トニー・譚（たん）
ベトナム出身の華僑で、洪家拳と流星錘の使い手。横浜で愚連隊を率い、強くなることへの執着心が強い。張仁忠に八極拳を拒否されたことから拳児を敵視し、幾度となく対決を繰り広げます。
剛 侠太郎（ごう きょうたろう）
拳児の祖父で、八極拳の師匠。日中戦争で助けた中国人の縁で八極門に入門。消息不明となり、拳児が中国へ旅立つきっかけを作ります。

その他の登場人物

物語には、拳児の家族や友人、中国武術の関係者など、個性豊かなキャラクターが多数登場します。彼らとの出会いと交流を通じて、拳児は武術家としてだけでなく、人間としても成長していきます。

拳児2

『拳児2』は、『拳児』の続編で、サンデーうぇぶりにて不定期連載されています。成長した拳児が、武術家として活躍する姿を描いています。

拳児2の登場人物

剛 拳児（ごう けんじ）
主人公。八極拳をはじめ数々の中国武術を修める達人として武術界に名を馳せている。
市村 太一（いちむら たいち）
拳児の幼馴染みの親友。息子が拳児の指導でいじめを克服し武術を始めたのを機に、自身も少年時代以来久しぶりに武術を再開する。
高杉 晶（たかすぎ あきら）
拳児の幼馴染みの女性。旧姓・風間。金龍菜館で働きながら一人娘の凛を育てている。

まとめ

『拳児』は、中国武術の魅力を描きつつ、主人公の成長物語としても楽しめる作品です。格闘シーンの迫力はもちろん、武術の思想や哲学に触れることができる点が、他の格闘漫画とは一線を画しています。続編『拳児2』では、さらに進化した拳児の活躍に期待が高まります。

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