劉崧

劉崧（りゅう すう、1321年 - 1381年）は、明の初期に活躍した官僚であり、優れた文人でもありました。もとの名は楚といい、字は子高、号を槎翁と称しました。彼の本貫は吉州泰和県にあります。

生涯

劉崧は、貧しい家庭に生まれましたが、幼い頃から学問に励み、才能を開花させました。元朝末期には郷試に合格し、その学識が認められました。1370年（洪武3年）、明朝が成立すると、彼は明経によって登用され、名を崧と改めました。

彼は奉天殿において洪武帝に召見され、その才能を高く評価されました。兵部職方司郎中に任じられ、鎮江における食糧徴収を命じられました。当時、鎮江では功臣の田地が多く、租税や賦役が民衆の大きな負担となっていました。劉崧は、この状況を深く憂慮し、民衆のために減税と免役を強く訴えました。彼の進言は容れられ、民衆の負担は軽減されました。

1373年（洪武6年）、劉崧は北平按察副使に転任しました。ここでも彼は、刑罰の軽減と事務の簡素化に尽力し、行政の効率化を図りました。また、戦乱で流浪していた民を呼び集め、彼らが再び生業を営めるように支援しました。文天祥の祠を学宮のそばに建立し、学問を奨励しました。また、学門に石碑を刻み、諸生に過度な徭役を課さないよう、府や県に指示を出しました。さらに、僻地の駅馬を減らすよう洪武帝に請願し、これも許可されました。

しかし、劉崧の清廉な行動は、当時の権力者であった胡惟庸の不興を買うことになります。彼は、胡惟庸によって事件に連座させられ、労役刑を科せられてしまいます。しかし、ほどなくして釈放され、故郷に帰ることができました。1380年（洪武13年）1月、胡惟庸が処刑されると、劉崧はその公正な人柄が再び認められ、召し出されて礼部侍郎に任じられました。同年4月には、吏部尚書に抜擢されるという異例の昇進を果たしました。しかし、同年5月、彼は職を辞し、引退しました。

1381年（洪武14年）3月、劉崧は再び召し出され、国子司業に任じられました。洪武帝は彼に鞍をつけた馬を賜りました。しかし、同年4月、彼は病のため亡くなりました。享年は61歳でした。彼の死後、1644年（崇禎17年）には、恭介と追諡されました。

著書

劉崧は、多くの著作を残しました。その中でも特に重要なものとしては、『北平八府志』30巻、『北平事蹟』1巻、『文集』18巻、『詩』8巻などがあります。これらの著作は、当時の社会情勢や文化を知る上で貴重な資料となっています。

まとめ

劉崧は、明代初期において、その学識と公正な人柄で民衆から信頼された官僚であり、優れた文人でもありました。彼の生涯は、逆境に屈せず、常に民衆のために尽力した姿を示しています。彼の残した功績と著作は、後世に大きな影響を与えました。

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