劉惇

劉惇（りゅう とん、生没年不詳）は、後漢末期に孫権に仕えた占術家であり、字は子仁と称した。本貫は青州平原郡である。彼は南方に隠棲し、その占術の腕は「八絶」の一人として賞賛された。

中原が混乱に見舞われるのを避けるため、劉惇は廬陵郡に身を寄せ、孫輔に仕えた。彼は天文学に通暁しており、天象を観測することで水害や旱魃、さらには賊の侵入を事前に予知し、その予言は常に的中したという。孫輔は彼を軍師に任じ、軍中の人々も彼を敬い、神のように崇めた。

建安年間、星に異変が現れた際、孫権がその意味を劉惇に尋ねた。劉惇は「丹陽において、客が主人を凌駕する災いが起こるでしょう」と予言した。果たして予言通り、丹陽では辺洪が孫翊を暗殺するという事件が発生した。

劉惇は多岐にわたる占術に秀でていたが、特に太一の術に精通しており、その原理を深く探求し、精妙な点を極めていた。彼は百篇を超える著書を著したが、その術を秘伝として人に教えることをしなかったため、世の人々は彼の術の内容を詳しく知ることはできなかった。高名な儒学者であった刁玄も、彼の非凡な才能を称賛したと伝えられている。

出典

* 陳寿撰、裴松之注『三国志』呉書 劉惇伝

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