劉昫

劉昫（りゅう く）は、五代時代、具体的には後唐から後晋にかけて活躍した政治家であり、字（あざな）は耀遠（ようえん）と称しました。彼の本貫は、現在の河北省保定市雄県にあたる、涿州帰義県です。

劉昫は、後唐の荘宗の時代に、太常博士と翰林学士という重要な役職に任命されました。太常博士は、国家の祭祀や礼儀を司る役職であり、翰林学士は、皇帝の側近として文書作成や学術的な業務を行う役職です。これらの役職からも、劉昫が当時から高い学識と政治的手腕を有していたことが窺えます。さらに、明宗の時代には、兵部侍郎（ひょうぶじろう）と端明殿学士（たんめいでんがくし）に任ぜられました。兵部侍郎は、国防を担当する兵部の次官であり、端明殿学士は、皇帝の諮問に答える学識者です。

後晋の時代に入ると、劉昫は司空（しこう）・同平章事（どうへいしょうじ）という、宰相に相当する官位にまで昇り詰めました。この地位は、当時の政治において非常に重要な役割を担っており、劉昫の政治家としての能力が非常に高かったことを示しています。彼は、政治の中心人物として、国政を運営する上で大きな影響力を持っていました。また、開運2年（945年）には、後晋の皇帝である石重貴（せき じゅうき）から『旧唐書』200巻の撰へ招かれました。しかし、この『旧唐書』の編纂には、実際には張昭遠（ちょう しょうえん）、賈緯（か い）、趙瑩（ちょう えい）らが携わっており、劉昫自身が編纂にどの程度関わっていたかは不明です。これは、当時の官僚制度における役割分担の一例であり、劉昫は編纂の総責任者として任命されたと考えられます。この『旧唐書』は、唐代の歴史を記した重要な歴史書であり、後世に大きな影響を与えました。

このように、劉昫は五代という激動の時代において、政治家として重要な役割を果たし、後世に名を残しました。彼の経歴は、当時の政治状況や官僚制度を理解する上で重要な手がかりとなります。また、彼の関与した『旧唐書』は、歴史研究において欠かせない資料となっています。

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