加治佐哲也

加治佐哲也（かじさ てつや、1951年7月6日生まれ）は、日本の教育学者であり、長年にわたり教育研究と教育行政の要職を務めた人物です。特に兵庫教育大学の学長として、また国の重要な教育関連組織の委員や会長として、日本の教員養成制度や学校教育の発展に多大な貢献をしてきました。

鹿児島県南九州市に生まれた加治佐氏は、広島大学教育学部を卒業後、同大学院教育学研究科博士課程後期に進みましたが、これを退学し、同大学教育学部の助手となりました。その後、宮崎女子短期大学の講師を経て、1989年に兵庫教育大学学校教育学部の助教授に就任。1997年には同大学教授に昇任し、研究教育活動に一層注力する立場となりました。

学術的な探求も深く、1997年には「教育委員会の政策過程に関する実証的研究」により、九州大学から博士（教育学）の学位を取得しています。この研究は、教育行政の実態に光を当てる重要な業績として位置づけられます。

2010年、加治佐氏は兵庫教育大学の学長に就任し、大学運営のトップとしてリーダーシップを発揮しました。その後、2019年にも再び学長の職に就き、複数期にわたり大学の発展に尽力しました。学長在任中だけでなく、大学外においても教育分野における様々な役職を歴任しています。具体的には、2012年には教員養成評価機構の理事・評議員、2016年には国立高等専門学校機構の監事、2017年には日本学校改善学会の顧問を務めるなど、教育機関の質の向上やガバナンスに関わる重要な役割を担いました。

さらに、加治佐氏は国の教育政策決定に関わる要職も数多く歴任しています。2019年には文部科学省の日本ユネスコ国内委員会委員や、全国の教職大学院を束ねる日本教職大学院協会の会長に就任しました。2021年には文部科学省の中央教育審議会委員となり、特に教員養成部会長として、日本の教育の根幹をなす教員育成のあり方について深く議論をリードしました。また、同時期には文部科学省の特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の座長も務め、多様な教育ニーズに対応できる教員養成システムの構築に向けた検討を主導しました。これらの役職は、教育研究者としての知見を行政や政策に反映させる重要な機会となりました。

加治佐氏の研究成果は、多くの著書や論文として発表されています。特に、教育委員会の機能や学校指導者の育成、学校改善に関する研究は高く評価されています。主な著作活動は以下の通りです。

主な著書・共編著・翻訳

『教育委員会の政策過程に関する実証的研究』多賀出版、1998年
『アメリカの学校指導者養成プログラム』多賀出版、2005年
『学校のニューリーダーを育てる 管理職研修の新たなスタイル』（編著）学事出版、2008年
『「夢実現学習」で中学校改革 学校評価・校内研修・学力向上・カリキュラム開発の実践』（監修・著、田辺市立東陽中学校編著）学事出版、2010年
『学校管理職養成スーパープログラム 先進教職大学院の実践に学ぶリーダー教育』（編著）学事出版、2011年
T.E.デール, K.D.ピターソン著『学校文化を創るスクールリーダー 学校改善をめざして』（中留武昭, 八尾坂修と共訳）風間書房、2002年
* D.ブリッジ, P.スメイヤー, R.スミス編著『エビデンスに基づく教育政策』（柘植雅義, 葉養正明と共編訳）勁草書房、2013年

これらの著作や論文に加え、教育関連の様々な会議や学会での活動を通じて、加治佐哲也氏は日本の教育学の発展、特に教員養成システムと学校経営の改善に多大な貢献を果たしてきました。その幅広い経験と深い学識は、後進の研究者や教育関係者にとって貴重な指針となっています。

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