加田克司

加田克司：長考と詰碁の大家

加田克司（かだ かつじ、1931年3月18日 - 1996年8月24日）は、大分県別府市出身の囲碁棋士です。木谷實九段門下で、加納嘉徳、大平修三と共に「戦後新三羽烏」と称されました。その棋風は堅実そのもので、特に序盤での長考は有名でした。また、現代における詰碁創作の第一人者としても高く評価されています。

生涯

中国の青島市で生まれた加田は、戦後別府に戻り、中学時代に木谷實との出会いを果たします。五子局で勝利し、三子局では敗れたものの、その才能を見出され木谷門下へ。戦後第1号の内弟子として囲碁の道に進みました。1947年に初段となり、その後順調に昇段を重ね、1967年には九段に昇段しました。

棋士としての主な実績としては、1962年の王座戦で準優勝があります。また、旧名人戦リーグや本因坊戦リーグにも参加するなど、数々の舞台で活躍しました。日高敏之八段は義理の息子にあたり、加藤正夫が木谷門下に入るきっかけを作った人物としても知られています。

詰碁への情熱

加田克司の特筆すべき業績は、詰碁の創作と研究です。最終的に13巻に及んだ詰碁集は、詳細な解説が特徴で「読む詰碁集」とも呼ばれました。

加田は、詰碁について「有益な内容を多く含んだ詰碁は解こうとして考えなくてもよいのです。問題を眺め、解説を読み、解説図を眺めて感心するだけでも有益ですが、盤上に並べて眺めれば、さらに有益です。」と述べています。解説の割り付けまで自らが行うという情熱を持って、詰碁の世界を追求しました。

詰碁に強くなる方法については、「まず、むずかしい詰碁に挑戦することです。そして、その詰碁を徹底的に研究し尽くすことにより、正解以外の有力な筋を多く会得することです。そのことはヨミの力を養う訓練となるでしょう。さらに正解の必然であることを納得すれば、そのあざやかな筋は、ひときわ脳裏に刻み込まれることになりましょう」と語っています。

前田陳爾による「詰碁名作ベストテン」(1972年)では、加田の作品が古典に並び、現代の代表作として選ばれています。これは、加田の詰碁が、単なるパズルではなく、囲碁の奥深さを追求する芸術作品として認められた証と言えるでしょう。

著作

『加田詰碁教室（ゴ・スーパーブックス 15）』日本棋院、1971年
『加田克司傑作詰碁』全8巻　誠文堂新光社　1988年-
『加田克司衆妙詰碁』全4巻　誠文堂新光社　1993年-
『現代囲碁大系〈第29巻〉曲励起・加納嘉徳・榊原章二・加田克司』1981年

参考文献

* 大島正雄「木谷秘譜」（『棋道』1997年4月号）

加田克司は、囲碁棋士としてだけでなく、詰碁作家としても、その名を深く歴史に刻んでいます。彼の残した作品は、これからも多くの囲碁ファンに愛され、研究され続けることでしょう。

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