加納口の戦い

加納口の戦いについて

加納口の戦い（かのうぐちのたたかい）は、天文13年9月22日（1544年10月8日）または天文16年9月22日（1547年11月4日）に、織田信秀と斎藤道三によって戦われた重要な合戦です。別名「井ノ口の戦い」とも称され、両者の争いは戦国時代の日本における権力闘争を反映しています。

戦いの経緯

この戦いに関する情報は文献によって異なります。『信長公記』によると、天文13年の9月3日、織田信秀は尾張国から兵を集め、美濃に攻め込みました。彼は村々に放火し、9月22日には斎藤道三の本拠地である稲葉山城の周辺にまで迫ります。しかし、午後4時ごろに一旦退くことにしたため、その際に道三が攻撃を仕掛けました。織田側は守備が整わず、信秀の弟である織田信康や青山信昌ら約5千人が討ち死にを遂げました。

一方、別の記録である『美濃国諸旧記』には異なる経緯が記されており、信秀が越前の朝倉孝景と結託して美濃に攻め入ったとされています。この場合、信秀の兵力は5千余で、道三は和睦を試みましたが、朝倉と織田は道三を信用せず、再度攻撃を仕掛けました。

年次の異論

加納口の戦いが天文13年にあったのか、あるいは天文16年に起こったのかは、歴史学者の間でも意見が分かれています。一部の文献、『甫庵信長記』や『享禄以来年代記』は天文16年説を支持しているのに対し、『定光寺年代記』は天文13年が正しいと断定しています。また、美濃国内の立政寺には、天文13年9月に織田寛近が発した禁制が残されており、これも議論の材料となっています。より詳細な証拠として、連歌師の谷宗牧が天文13年10月に美濃で大敗した信秀と対面した記録も存在します。

戦力と被害

戦における兵力や損害についてもさまざまな記録があります。『信長公記』によると、織田方の死者は5千人に達したとされ、別の『定光寺年代記』では尾州衆から2千人が討ち死にしたと記されています。また、道三の家老である長井九兵衛の書状には、織田方の軍勢が25,000人から30,000人に達したことが示唆されています。対して道三側は5、600の兵力であり、最終的に道三は勝利を収めることになります。

ただし、織田方は逃走時に木曽川で2、3千人が溺死したと伝えられ、信秀は生き残った兵を連れて逃げ帰って行ったとされています。

戦後の影響

この戦いでの敗北は織田家にとって痛手でしたが、平手政秀の取り計らいにより信秀の嫡男・信長と道三の娘・帰蝶（濃姫）との結婚が実現し、和睦を結ぶことになりました。この戦いの後には、「織田塚」と呼ばれる戦没者を弔うための供養所が設けられ、後に円徳寺に改葬されたと伝えられています。現在では岐阜市の指定史跡となり、多くの人々にその歴史的意義が伝えられています。

加納口の戦いは、戦国時代の織田家と斎藤家の関係を掘り下げる鍵となる合戦であり、その後の歴史にも深い影響を及ぼしました。

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