加藤久仁生

加藤久仁生（かとう くにお）は、1977年4月24日生まれの日本のアニメーション作家です。鹿児島県鹿児島市出身で、多摩美術大学グラフィックデザイン科を卒業しました。大学在学中からアニメーション制作に取り組み、国内の賞を獲得するなど、その才能は早くから注目を集めていました。

大学卒業後の2001年、加藤は映像制作会社ROBOTに入社し、キャラクター・アニメーション部のアニメーションスタジオケージに所属しました。ROBOTでは、テレビ番組、Webアニメーション、スポットCMなど、幅広いジャンルのアニメーション作品を手がけ、そのキャリアを積みました。

2008年、加藤が監督した短編アニメーション作品『つみきのいえ』は、アニメーション界で最も権威のあるアヌシー国際アニメーション映画祭で、短編作品の最高賞であるアヌシー・クリスタル賞（グランプリ）を受賞しました。日本人監督による同賞の受賞は、2003年の山村浩二監督の『頭山』に続き2人目という快挙でした。

さらに2009年、『つみきのいえ』は第81回アカデミー賞の短編アニメーション賞を受賞しました。この受賞は、日本人監督作品としては初の快挙であり、世界中のアニメーションファンから大きな注目を集めました。受賞スピーチでは、英語でオスカー像の重さに触れつつ、スタッフへの感謝の意を表明し、所属していたROBOTにも感謝の言葉を述べました。また、アメリカのロックバンド、スティクスの楽曲「ミスター・ロボット」の歌詞にちなんで「どうもありがとう。ミスター・ロボット」と締めくくり、会場の笑いを誘いました。

2017年春、加藤はROBOTを退社し、アニメーション作家として独立しました。同年には、NHK「みんなのうた」で、宮本浩次が作詞・作曲を手掛けた「風と共に」のアニメーションを担当し、その才能を再び示しました。同年秋には、活動拠点を東京都内から鎌倉に移しています。

加藤の主な作品には、『The Apple Incident』、『或る旅人の日記』（2003年）、MY LITTLE LOVERの「FANTASY」、MTV “MUSIC FLOWER”、『R』（2006年）、そして代表作である『つみきのいえ』（2008年）などがあります。また、2023年には映画『窓際のトットちゃん』の水中シーンのアニメーションを手がけています。

「みんなのうた」では、5分間1曲枠の楽曲（ロングのうた）を中心に、以下の作品のアニメーションを担当しています。

中川晃教「セルの恋」（2005年8月・9月放送）
エレファントカシマシ「風と共に」（2017年6月・7月放送）
* 嵐「カイト」（2020年4月・5月放送）


加藤の受賞歴も数多く、ラピュタアニメーションフェスティバル（最優秀作品賞）、第2回メルヘンアニメ・コンテスト（最優秀作品賞、2004年、『或る旅人の日記』）、第8回ソウルCartoon & Animation Festival（入賞、2004年）、オタワ国際アニメーションフェスティバル（入賞、2004年、2006年）、アヌシー国際アニメーション映画祭（グランプリ、2008年、『つみきのいえ』）、第12回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門（大賞、2009年、『つみきのいえ』）、第81回アカデミー賞（短編アニメーション賞、2009年、『つみきのいえ』）、第7回メルヘンアニメ・コンテスト（最優秀作品賞、2008年、『つみきのいえ』）、第14回アニメーション神戸賞（個人賞、2009年）などがあります。

加藤の作品は、国内外の多くのクリエイターにも影響を与えており、例えば、チリの作家ホセ・バローハは、加藤の短編映画『或る旅人の日記』にインスピレーションを受け、小説「El hombre del terrón de azúcar」を執筆しています。

加藤久仁生は、その独創的な世界観と繊細な表現力で、アニメーションの可能性を広げ続ける、現代を代表するアニメーション作家の一人と言えるでしょう。

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