加藤久美子 (拉致被害者)

加藤久美子について

加藤久美子（かとう くみこ）は、1948年1月1日に福岡県北九州市で生まれました。彼女は北九州市立大蔵中学校を卒業し、その後私立の北九州女子高等学校に進学。活動的な性格で、生徒会の役員も務めました。高校卒業後は、八幡食糧協同組合や知人の喫茶店での勤務を経て、失踪時には小倉区の山佐商事という商品先物取引会社の総務部に勤めていました。彼女は速記やペン習字、編み物など多様なスキルを積極的に学んでいました。

1970年8月8日の朝、加藤は妹とともに自宅を出て、通勤途中に妹と別れました。その後、彼女は行方不明となり、失踪時は22歳でした。彼女は155センチ、47キロの体型で、特に悩みや不安を抱えていた様子は無かったとされています。失踪前のコミュニケーションでは、編み物の先生との茶会について母親に相談していたことから、突発的な行動ではなかったと考えられていました。

失踪後、家族は警察から無関係な遺体の報告を受けましたが、加藤に関する情報は一切得られませんでした。事故の可能性も低く、彼女は電話交換手の資格を持っており、特筆すべき特徴としては首の後ろの水疱瘡の痕がありました。

拉致の疑いと目撃情報

加藤久美子は、特定失踪者問題調査会によって2003年に公表された失踪者リストに名を連ねました。目撃者として名乗り出た元北朝鮮工作員の安明進は、彼女が金正日政治軍事大学在学中に平壌で目撃したと証言しています。この証言によれば、彼女は日本語の教官として活動しており、年齢は40代前半で家庭を持っているように見えたとのことです。この情報は1988年から1990年の間のもので、彼女が他の拉致被害者とともに教官として存在していたことが示唆されています。

安は、加藤を含む多くの日本人教官を見かけており、彼女はその中でも最年長の存在として記憶されていました。同時に、彼女は明るい性格を持ち、他の教官からは「アジュンマ（おばさん）」と呼ばれていたということです。彼女が連れ去られた背景には、日本の工作員育成のために拉致された可能性が指摘されています。

特定失踪者問題調査会は、加藤の帰国を求めるための文書を福岡県警に提出しましたが、情報は限定的でした。加藤の弟は、家族の安否確認を願い、関係者に向けて情報提供を求めるメッセージを発信しています。

近年の動きと事件の位置づけ

加藤の拉致に関しては、彼女が失踪した翌年の1971年にも北九州市で拉致未遂事件が発生しており、特定失踪者問題調査会によって調査が進められています。

加藤久美子のケースは、北朝鮮による日本人拉致問題の象徴的な事例であり、現在も彼女の行方や事実関係を解明するための活動は続いています。彼女の存在を忘れず、真実を追求することが重要です。多くの関係者が彼女の帰国を願い、情報の収集を続けています。

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