加藤冠

加藤冠（かとう かん）は、1993年6月2日に東京都で生まれた日本の小説家。かつてはジャニーズ事務所に所属し、ジャニーズJr.として活動した経歴も持つ。父親は時代小説家として知られる加野厚志。自身も早くから文才を発揮し、若くしてプロ作家として活動を開始した。最終学歴は慶應義塾大学法学部卒業。

幼少期は東京都の谷中、根津、千駄木といった、情緒あふれる地域で過ごした。この時期は野球に熱中する少年だったという。また、幼い頃から表現活動に触れており、小学校1年生でNHK東京放送児童劇団に入団。さらに、お笑いの世界にも興味を持ち、2006年にはアマチュアながら「カン」名義で『R-1ぐらんぷり』に出場し、準々決勝に進出するという意外な一面も見せた。

同年5月4日には、オーディションを経てジャニーズ事務所に入所。ジャニーズJr.として活動を開始し、タレントとしても経験を積んだ。2008年にはロート製薬の「OXYデオドラントボディローション」のCMに出演している。

一方、小説家を志す気持ちは早くから固まっていた。小学校4年生の頃には既に作家を将来の目標としており、小学校6年生の時に『12歳の文学賞』への応募作品を執筆。残念ながら、応募締切時点で中学生になっていたため、規定の対象外となってしまった。しかし、この経験が契機となり、新たに書き上げた作品が小学館発行の雑誌『小学四年生』に連載されることとなる。そして、連載作品「ちょっと大夢（タイム）」によって、14歳という若さで小説家としての第一歩を踏み出した。

高校受験を控えた時期にジャニーズ事務所を退所し、本格的に作家活動へと注力するようになる。2009年7月27日、最初の単行本となる『ジョニー・ゲップを探して』をナショナル出版より刊行。この作品は「月影 禅（つきかげ ぜん）」というペンネームで発表され、これがプロ作家としてのデビュー作となった。

学業にも力を入れ、慶應義塾大学法学部を卒業。大学在学中には、文筆能力の高さを示す出来事もあった。2010年12月1日に行われた第35回小泉信三賞全国高校生小論文コンテストにおいて、執筆した小論文「冷たく美しい紡錘形の書物」が次席に選ばれたのである。この受賞作品および審査員の選評は、慶應義塾大学の機関誌『三田評論』2011年1月号に掲載されている。

作家としては、2011年10月27日に角川書店から刊行された『花丸リンネの推理』が、本格的な作家デビュー作と位置づけられている。この作品は「阿野 冠（あの かん）」というペンネームで発表された。その後も精力的に創作活動を続け、日本の主要な文学賞の一つである松本清張賞では、第23回、第24回、第25回と3年連続で最終候補に残るなど、新人作家の中でもその実力と将来性が高く評価されている。

人物

「冠」という名前は、中国語において「ナンバーワン」を意味することに由来して名付けられたとのこと。

主な作品

『ジョニー・ゲップを探して』（ナショナル出版）- 月影禅 名義
『花丸リンネの推理』（角川書店）- 阿野冠 名義
『谷根千少女探偵団 乙女稲荷と怪人青髭』（PHP研究所）
『荒川乱歩の初恋 高校生探偵』（光文社キャラ文庫）

出演

CM
ロート製薬 OXYデオドラントボディローション（2008年）

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