加藤士津八

加藤士津八：父・和宏氏の系譜を継ぐ調教師の道

1985年2月2日、父は名調教師として知られる加藤和宏氏、弟は厩務員というサラブレッド業界に囲まれた環境で、加藤士津八氏は誕生しました。父和宏氏が騎手として活躍した同年の東京優駿（日本ダービー）制覇時には、生後4ヶ月の士津八氏が和宏氏の勝利の瞬間に立ち会いました。まさに競馬と共に歩み始めたと言えるでしょう。

2003年、JRA競馬学校19期生として騎手デビュー。父と同じく美浦トレーニングセンターに所属し、国枝栄厩舎に所属しました。親子2代でJRA騎手という話題性も相まって、メディアの注目を集めました。同期には石橋脩、長谷川浩大、松岡正海、佐久間寛志、南田雅昭といった、後に活躍する騎手たちが名を連ねています。

デビューイヤーは7勝を挙げ順調な滑り出しを見せました。しかし、その後は伸び悩み、3年間の通算19勝という結果に終わります。見習い騎手の斤量減免が適用されなくなった2006年以降は、騎乗回数、勝利数ともに減少傾向となり、苦戦を強いられました。

さらなるスキル向上を目指し、2007年秋にはアイルランド、イギリス、フランスへと自主研修に出向きました。また、2011年にはJRA所属騎手として初めて中国・湖北省武漢競馬場で行われた国際騎手招待レースに参戦するなど、積極的に海外での経験を積みました。しかしながら、国内では2009年以降は未勝利と低迷が続き、騎手としての苦悩が続きました。

騎乗機会を増やすため、2009年から障害競走にも挑戦しましたが、通算7戦未勝利と結果を残せず、2011年からは再び平地競走に専念しました。しかし、平地、障害ともに目覚ましい活躍はできず、2011年12月31日をもって騎手を引退しました。

引退後は、父・和宏氏の厩舎で調教助手として経験を積み重ねます。そして、2017年12月7日、JRAの新規調教師試験に見事合格。2018年3月1日付で調教師免許が発効され、2019年3月1日には自身の厩舎を開業しました。

調教師として、加藤士津八氏は新たな挑戦を続けています。若手騎手時代には結果を残せなかった悔しさをバネに、今度は調教師として、多くの才能ある馬を育成し、新たなスターを誕生させるべく、日夜努力を続けていることでしょう。主な管理馬として、コラソンビート（2023年京王杯2歳ステークス）、コスモキュランダ（2024年弥生賞ディープインパクト記念）、クリスマスパレード（2024年紫苑ステークス）などが挙げられ、今後の活躍が期待されています。

加藤士津八氏のキャリアは、華やかなダービーの栄光から始まり、騎手としての苦悩、そして調教師としての再スタートと、常に競馬界の中心にいながらも、地道な努力を積み重ねてきた証と言えるでしょう。今後の活躍に期待しましょう。

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