加藤愛雄

加藤愛雄（かとう よしお）

加藤愛雄は、1905年11月30日に千葉県夷隅郡大多喜町で生まれた日本の地球物理学者です。彼は理学博士号を持ち、東北大学の名誉教授として多数の業績を残しました。専門は地球電磁気学であり、科学界に大きな影響を与えました。彼の兄は化学者の加藤多喜雄、弟には生物学者の加藤陸奥雄と地質学者の加藤磐雄がいます。さらに、子孫には数学者の加藤文元もいます。

職歴と功績

加藤は、旧制宮城県仙台第一中学校、旧制第二高等学校を卒業後、1930年に東北帝国大学理学部物理学科を無事に卒業しました。その後、同大学で副手や助手などの職を経て、1938年には助教授に就任しました。1945年には地球物理学教室を設立し、教授として数多くの研究を行いました。

1956年からは仙台市天文台の台長を務め、1957年には東北大学理学部附属の地磁気観測所の所長を兼任しました。1964年には航空磁気儀を完成させ、水路観測事業に貢献したとして運輸大臣から表彰を受けました。また、1965年には日本地球電気磁気学会の会長就任、1968年には地磁気の変化に関する研究で日本学士院賞を受賞しました。彼は1969年に名誉教授となり、1976年には従四位に叙せられ、勲二等瑞宝章を受章。1985年には日本学士院会員となり、1992年には正四位に叙せられました。

研究業績

加藤愛雄は、短周期の地球磁場変動を観測するために、高誘導磁率合金センダストを使用した誘導型磁力計（フラックスゲート磁力計）を開発しました。この装置によって、地磁気の3成分における微細変動を広範囲で長期間にわたって観測し、正弦波形の定常脈動をPc1からPc5までの5つに分類しました。この分類法は現在でも世界的な基準として利用されています。

特筆すべきは、磁気嵐に関連したPi脈動やPi2脈動を発見した点です。加藤は、アルジェリアのタマンラッセで観測されたPi2と、宮城県女川の地磁気観測所で同時に観測されたPi2が同位相であることを示し、これは地球規模での現象であることを証明しました。また、日食を通じた観察により、地球の磁場の変化が日食の影響を受けることを明らかにしました。さらに、地磁気変動中の地球内部の電磁感応に関する「東北日本異常」の発見など、多様な研究を行っています。

航空磁力計を発展させて、日本各地での航空磁気探査を行い、地質構造と地球磁気の異常分布との関係についても探求しました。彼は、地球磁場を基準とした磁力計をロケットや飛翔体の姿勢計として実用化することにも成功しました。

著作

加藤愛雄の著作には『宇宙へのさすらい』があり、これは科学随筆文庫の一部として1979年に出版されました。彼の研究や考え方は、彼の著作を通じても多くの人々に伝わっています。彼の業績や研究は、地球物理学の発展に多大な貢献をし、今なお広く知られています。

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