加藤 陸奥雄:昆虫生態学のパイオニア
加藤陸奥雄(かとう むつお、
1911年12月2日 - 1997年
3月8日)は、日本の
生物学者であり、昆虫生態学の専門家として知られています。彼は
宮城県仙台市で生まれ、
正三位の
位階を持つ学者として、その幅広い研究と教育活動を通じて、多大な影響を与えました。
家族と背景
加藤陸奥雄の家族も科学の分野で活躍する人々が多く、兄には化学者の加藤多喜雄や地球物理学者の
加藤愛雄、そして弟には地質学者の加藤磐雄がいます。彼の大甥にあたる数学者の加藤文元も、科学界で重要な存在です。このように、加藤家は科学的な才能に恵まれた一族です。
学歴とキャリアの歩み
彼は
宮城県仙台第一中学校(現・
宮城県仙台第一高等学校)を卒業した後、第二高等学校理科を経て、
1935年に東北帝国大学理学部生物学科を卒業しました。その後、
1944年には農商務省農事試験場に入所し、
1945年には
東北大学より理学博士の学位を取得します。彼の学位論文は「昆虫の日週律的活動と其の環境条件」というタイトルで、昆虫の行動に関する重要な研究でした。
1947年には
東北大学理学部生物学科の教授に就任し、農林技官を兼任しました。
1969年から
1972年には理学部長、また
1971年から
1977年までの間には
東北大学の総長を務めており、大学の発展に寄与しました。さらに、
1971年から
1976年には
日本生態学会の会長に就任し、
1977年から1982年には
大学入試センターの初代所長をつとめました。
加藤は1982年に
宮城県美術館の初代館長に就任し、
1990年には
宮城県自然環境保全審議会の会長を担いました。
1996年には仙台名誉市民に選ばれ、1997年には
正三位の
位階が与えられました。これらの役職を通じて、彼は生物学だけでなく、教育や文化の分野でも大きな影響を与えました。
編著と著作
加藤陸奥雄は学問だけでなく、著作活動にも積極的でした。彼は1978年に『むし虫虫』、
1980年には『日本昆虫記・昆虫の1日』の上巻と下巻をはじめとする一連の昆虫関連書籍を出版しました。また、同年には『日本昆虫記・昆虫の四季』や『日本昆虫記・害虫ものがたり』の上巻と下巻も刊行されています。これらの書籍は日本の昆虫生態についての知識を深めるための貴重な資料となっています。
さらに、
1984年には『日本の天然記念物・動物1』と『日本の天然記念物・動物2』を講談社から発行し、多くの自然愛好者や研究者に向けても自然環境の重要性を伝えました。
最後に
加藤陸奥雄は、その生涯を通じて日本の生物学の発展に寄与し、数多くの学生や研究者に影響を与えてきました。彼の業績は、昆虫生態学の分野における基盤を築くものであり、今日もなお、多くの人々に感化を与えています。彼の名は今後も長く語り継がれることでしょう。