加藤条治

加藤条治：氷上のスピードスター

加藤条治（かとう じょうじ）は、1985年2月6日生まれ、山形県山形市出身のスピードスケート選手です。卓越したバランス感覚と、コーナーワークを武器に、数々の国際大会で輝かしい成績を収めてきました。特に男子500mでは、世界記録を更新した経験を持ち、その実力は世界に認められています。

生い立ちとスケートとの出会い

加藤選手は、4人兄弟の末っ子として生まれました。兄たちの影響で、最初はショートトラックを始めましたが、その後スピードスケートに転向。スピードスケート選手としては珍しい山形市出身であり、その才能は早くから開花しました。

山形中央高校時代には、インターハイ男子500mで3連覇を達成。高校3年生で、日本人選手として初めてスピードスケート・ワールドカップ（W杯）代表に選出され、2002年12月の長野大会で3位入賞を果たしました。さらにその翌週、中国・ハルビンで行われたW杯では、当時の日本スケート界の第一人者であった清水宏保選手を破り2位に入賞。2003年1月には、ソルトレイクシティ大会で世界ジュニア新記録を樹立するなど、高校生でありながら、世界の舞台で活躍しました。

世界記録とオリンピックへの挑戦

高校卒業後、三協精機に入社した加藤選手は、2005年3月にドイツ・インツェルで開催された世界距離別選手権で優勝。2005年11月には、W杯アメリカ・ソルトレイクシティ大会で、清水宏保選手が保持していた世界記録を更新する34秒30をマークし、世界新記録を樹立しました。

しかし、世界記録保持者として臨んだ2006年トリノオリンピックでは、メダル候補と目されながらも、総合6位入賞に留まりました。

その後、スランプを経験し、奇病「（足が）ブラブラ（する）病」の疑いもかけられましたが、地道なトレーニングで克服。2010年バンクーバーオリンピックでは、スピードスケート男子500mで銅メダルを獲得し、自身初のオリンピックメダルを獲得しました。

2014年ソチオリンピックでは、2大会連続のメダル獲得が期待されましたが、5位入賞。2018年平昌オリンピックでは、スタートでのフライングやカーブでのミスが響き6位入賞に留まりましたが、冬季オリンピックでは4大会連続で6位以内入賞という、輝かしい記録を打ち立てました。

引退とその後

2022年3月29日に現役引退を表明し、現在は博慈会の職員として活動しています。その一方で、長年培った技術と経験を活かし、後進の育成にも力を注いでいます。

加藤選手のプレースタイル

加藤選手は、その卓越したバランス感覚から「天才肌」と評され、特に「カーブを駆け抜ける」とまで言われる、世界屈指のコーナーワークが持ち味です。

ショートトラックの経験を活かしたコーナーでのテクニックは、他の選手を圧倒します。ロケットスタートで記録を出すタイプの清水宏保選手とは対照的に、加藤選手はコーナーワークで勝負するタイプと言えるでしょう。

また、スピードスケート選手としては、技術と瞬発力は優れているものの、持久力に欠けるため、典型的な「500m専門型」です。1000m以上の距離では、好タイムを出すことが難しいですが、500mでは圧倒的な強さを誇ります。ワールドカップでは、通算14回の優勝を果たしています（500m13回、100m1回）。

プロフィール

• - 出身地：山形県山形市
• - 身長：165cm
• - 体重：61kg
• - 出身校：山形市立滝山小学校、山形市立第六中学校、山形中央高等学校
• - 所属：日本電産サンキョー（元）、一般財団法人博慈会
• - 種目：スピードスケート・ロングトラック（500m、1000m）

人物像

幼少期の木登りによって、足底筋が異常に発達しており、土踏まずが無い「扁平足」のようになっています。この特異な足がクッションの役割を果たし、コーナーでのバランスの良さに繋がっています。

また、生まれつき足首や膝の関節が弱く、コーナーを回る際に、腰をコーナー内側に入れる独特の姿勢をとることが出来ます。この姿勢が、駆け抜けるようなカーブ滑走を可能にしています。

タレントの安田裕己（安田大サーカスリーダー）とは親交があり、食事を共にする仲であることも知られています。

加藤条治選手は、その才能と努力で、日本のスピードスケート界に大きな足跡を残しました。彼の活躍は、今後も多くの人々に語り継がれるでしょう。

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