加賀東谷

加賀東谷は、石川県加賀市にある重要伝統的建造物群保存地区です。2011年11月29日に、加賀橋立地区に続き、加賀市で2番目の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。

概要

東谷地区は、山中温泉荒谷町、今立町、大土町、杉水町の4つの集落から構成されています。重伝建の対象地区は151.8ヘクタール、外周は26.8キロメートルに及びます。
保存対象は、「伝統的建造物」と「環境物件」の2種類に大別されます。

伝統的建造物: 明治期から昭和30年代にかけて建てられた家屋（136棟）と、石垣や鳥居などの工作物（243件）
環境物件: 伝統的建造物が位置する土地にある旧道や水田などを含む自然環境（58件）

建物の特徴

加賀東谷地区の主屋は、2階建ての切妻造で、赤褐色の桟瓦葺の屋根と煙出しが特徴的です。外壁は杉の下見板張りで、平面形式は「加賀1型」と呼ばれる様式です。

加賀1型は、玄関からニワ（土間）、オエ（居間）へと続き、梁間いっぱいに広がっています。奥には座敷や納屋、仏間が2列に配置されています。柱の部材にはベンガラ塗りが施され、オエには漆が用いられています。

赤瓦

加賀市の赤瓦は、明治期に越前瓦や石州瓦の影響を受けて生産が始まりました。東谷地区では、明治前期から昭和30年代にかけて家屋の建て替えが進み、茅葺屋根から赤瓦の屋根へと変わっていきました。

煙出し

煙出しは、室内にある囲炉裏の上部に、瓦屋根から突き出すように設置されています。囲炉裏から出る煙が室内に充満するのを防ぐ役割を果たし、明治時代以降に普及しました。しかし、昭和中期（1960年代）頃には、薪の利用が減少し、煙出しの設置も減少しました。

仏間

仏間は、冠婚葬祭を行うための空間です。加賀1型の家屋では、仏壇は仏間の奥の壁側に設置されることが多いですが、火災の際に家の外側から仏壇を救出できるように工夫された構造になっている場合もあります。

アクセス

* 加賀温泉駅より車で約20〜30分

加賀東谷は、日本の伝統的な建築様式と美しい自然が調和した、貴重な景観を今に伝える地域です。その文化的価値が認められ、重要伝統的建造物群保存地区として保護されています。訪れる人々は、昔ながらの日本の風景の中で、穏やかな時間を過ごすことができるでしょう。

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