加賀爪直澄

加賀爪直澄の生涯と業績

加賀爪直澄（かがつめ なおずみ）は、江戸時代前期に生きた旗本・大名であり、加賀爪上杉家の第8代当主として知られています。武蔵国高坂藩の初代藩主でもあり、彼の人生は乱暴者としての名声と官職による栄光が交錯した、波瀾万丈のものでした。

幼少期と若年時代

慶長15年（1610年）、加賀爪忠澄の長男として生まれた直澄は、若い頃から特異な存在感を発揮しました。彼は水野十郎左衛門とともに徒党を組むことで知られ、多くの人々に「夜更けに通るは何者か、加賀爪甲斐か泥棒か」と恐れられる存在となりました。しかし、乱暴者の一面に加え、政治的な才能も持ち合わせていました。彼は江戸幕府の初代将軍・家光の小姓として仕官し、その後、2000石を与えられて官職の階段を上っていきました。

大名への道

寛永18年（1641年）、父・忠澄の死去に伴い、彼は旧領9500石を相続しました。その後、彼の領地は1万1500石に達しましたが、相続の際に2人の弟にそれぞれ1000石、500石を分配したため、直澄の実際の領地は1万石となりました。しかし、寛文元年に寺社奉行に任命されると、同8年には3000石の加増があり、最終的に1万3000石の大名として知られるようになりました。

茶道への関心

直澄はまた、茶の湯においても深い関心を寄せ、織部流や小堀遠州にも師事していました。彼は鶴陽舎一明、または名月庵鑑という号を持ち、茶の文化においてもその名を知られる存在となりました。

家督相続とその後

彼の人生の中で大きな転機となったのは、万治3年（1660年）11月25日に長男・直輔が22歳で早世したことでしょう。直澄は甥の直清を養嗣子として迎えましたが、延宝7年（1679年）6月18日に直清に家督を譲ることになります。しかし、相続の際の書類不備により直清は成瀬正章との領地問題で争いを引き起こし、その責任を問われることとなりました。

不運なことに、延宝9年（1681年）には直澄自身も改易され、同年に土佐国に配流されました。彼は土佐新田藩の4代藩主・山内豊昌に預けられることとなりました。

晩年と死去

加賀爪直澄は沈黙のうちに貞享2年10月3日に76歳で亡くなりました。彼の死の翌日には、実兄に預けられていた直清も亡くなっています。直澄の墓所は高坂藩庁があった高坂館跡に位置する高済寺に建てられ、彼の名声と業績を今に伝えています。

直澄の波乱に満ちた人生は、彼の名を歴史に刻むこととなり、江戸時代の大名としての姿勢を示す貴重な事例と言えるでしょう。

もう一度検索