労働組合期成会

労働組合期成会とは

労働組合期成会は、1897年7月5日に結成され、1901年に解散した、戦前の日本における労働組合結成を目的とした団体です。この団体は、日本の労働運動黎明期において、重要な役割を果たしました。

結成の背景と目的

当時の日本は、産業革命を経て資本主義が急速に発展し、労働者の権利が十分に保障されていない状況でした。このような状況下で、労働者の地位向上を目指し、労働組合の必要性が認識されるようになり、労働組合期成会が設立されました。幹事長には高野房太郎、幹事には片山潜、澤田半之助などが名を連ね、労働運動の先駆者たちが集結しました。

活動内容

期成会は、各地で演説会を開催し、労働者に組合結成の必要性を訴えました。その結果、結成直後には、鉄工組合、日本鉄道矯正会、活版工組合といった職業別組合が誕生しました。これらの組合は、クラフトユニオンの形態をとり、組合員間の相互扶助を活動の柱としていました。また、高野房太郎自身も共働店を開設し、組合員の生活を支援しました。さらに、機関紙『労働世界』を発行し、労働者の啓蒙活動にも力を注ぎました。これらの活動により、期成会の会員数は一時的に5700人にも達しました。

衰退と解散

1900年に治安警察法が施行されると、労働組合に対する弾圧が強まりました。各組合は財政難に陥り、使用者側からの反撃も激しくなり、組織は急速に衰退しました。そして、1901年に労働組合期成会は解散を余儀なくされました。しかし、この期成会の活動は、後の日本の労働運動に大きな影響を与えました。

労働組合期成会の意義

労働組合期成会は短命に終わったものの、日本における労働組合運動の先駆けとして、その歴史的意義は非常に大きいといえます。労働者の権利を守るために、組織的に行動することの重要性を広く社会に知らしめました。また、高野房太郎や片山潜といった、後の労働運動を牽引した人物を輩出した点でも、その貢献は大きいです。

参考資料

飯田鼎「初期労働運動における共済組合とストライキ団体 : 労働組合期成会の意義と役割」『三田学会雑誌』第70巻第4号、慶應義塾経済学会、1977年8月
高野房太郎と労働組合の誕生 - 法政大学大原社会問題研究所
６　労働組合期成会の創立
７　片山潜と『労働世界』

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