片山潜

片山潜の生涯と業績

片山潜（かたやま せん、1859年12月26日 - 1933年11月5日）は、日本の労働運動家や社会主義者として知られる思想家であり、また社会事業家でもありました。彼は美作国久米南条郡羽出木村（現在の岡山県久米南町羽出木）で庄屋の次男として生を受け、幼少期には「菅太郎」という名前で呼ばれていました。

幼少期から留学まで

1877年に親戚の片山幾太郎の養子となり、兵役を一時的に免れることが目的とされていました。教育を受けたのは安達清風の私塾で、その後1880年に岡山師範学校に入学しましたが、1881年に退学し東京へ移ります。東京では攻玉社で塾の弟子として勤務し、1884年にアメリカに渡る決意を固めます。留学中は金銭的な支援を受けながら様々な職に就き、英語とキリスト教について深く学びました。

その後、メリーヴィル大学やイェール神学校で学び続け、1896年に帰国します。帰国後すぐに東京専門学校で教鞭を取りますが、短期間で解任される運命に。

社会運動と隣保館設立

片山は英語教員の職に続かず、代わりにアメリカでのセツルメント運動の理念に影響を受け、1897年に日本初の隣保館である「キングスレー館」を設立しました。この活動の傍ら、片山は労働運動の育成にも尽力し、同年には『労働世界』を創刊し主筆となります。また職工義勇会の創設にも深く関わりました。

社会主義運動への関与

1897年以降、片山は社会主義研究会に参加し、日本初の社会主義政党である社会民主党に加入します。過程の中で労資協調の立場に対する反発が生まれ、彼はより直接的な行動を求める運動に参加し続けました。1903年に再度アメリカへ渡り、国際組織の一員として活動。

海外での活動と逮捕

片山は日露戦争の時期に労働者の反戦を訴え、帰国後も積極的な運動を行いましたが、1911年には東京市電ストライキの指導によって逮捕され、投獄されます。ただし大正天皇即位に伴う大赦で早期に出獄。その後1914年にアメリカへ亡命し、1917年のロシア革命の後、マルクス・レーニン主義に傾倒します。

ソビエト連邦と晩年

1921年にソビエト連邦に渡り、コミンテルン常任執行委員会の一員として国際的な運動に参与します。しかし、業務の非効率性が問題視され、モスクワに留まることになります。晩年は病気に苦しみながらも、国際運動に関与し続けました。1933年にはモスクワで死去し、葬儀には多くの人々が集まりました。

家族と遺産

片山は結婚し、子供たちもいましたが、彼の家族はソ連で波乱に富んだ人生を送っていました。特に、娘たちはコミンテルンとの関連で厳しい運命が待っており、片山自身もまたコミンテルンのメンバーとして浮き沈みを経験しました。彼の生命と行動は、労働運動と社会主義における日本の歴史に強い痕跡を残し、彼の名は今も語り継がれています。

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