動乱時代

動乱時代

動乱時代（どうらんじだい）は、ロシア史上の一時期を指し、1598年にフョードル1世が亡くなってリューリク朝が断絶し、1613年にロマノフ朝が創設されるまでの混乱の時代を表します。特にこの時期は、飢饉、ツァーリの不在、戦争による社会の動揺が特徴的でした。

背景と大飢饉

リューリク朝のフョードル1世が1598年に死去すると、後継者問題が深刻化しました。側近のボリス・ゴドゥノフは帝位を継承するものの、その治世は病弱なフョードルよりもさらなる混乱を招くこととなります。この時期、南米のワイナプチナ火山の噴火が影響し、ロシアでは1601年から1603年にかけて厳しい凶作が続き、大飢饉が発生しました。推計では、国民の約3分の1にあたる200万人が亡くなったと言われています。政府の食料配給は混乱を招き、急増した難民によりさらに経済は崩壊しました。

偽ドミトリーの出現

1603年、皇位継承者として名乗り出た偽ドミトリー1世が現れます。彼は暗殺されたと思われる先帝の弟と称し、多くの支持を集めました。ポーランド・リトアニア共和国のバックアップを受けた彼は、小さな軍でロシアに侵入し、1605年にモスクワを占領。ボリス・ゴドゥノフの政権を終わらせましたが、目立った成果を挙げる間もなく、彼自身が野心家のヴァシーリー・シュイスキーにより暗殺されてしまいます。シュイスキーは次代のツァーリとなりますが、その治世にも不満が渦巻き、さらなる偽ドミトリー2世が出現しました。

戦争と空位

ロシア・ポーランド戦争が勃発し、1620年代初頭にはロシアは国としての機能を大きく喪失。ポーランド軍はモスクワに進軍し、クレムリンを占拠してしまいます。国民の間には大きな抵抗があったものの、混乱が続く中で、ポーランドはロシア[[正教会]]やロシア社会の統治を試みます。しかし、一般市民や地方軍の反抗もあり、その力を削がれていきます。

独立への道

動乱時代の終息の兆しは、ニジニ・[[ノヴゴロド]]の商人クジマ・ミーニンとドミトリー・ポジャルスキーの呼びかけにより始まります。彼らは市民を統合し、1612年にモスクワで戦いを展開。ついにポーランド軍を追い出し、民族的な団結の象徴を成しました。この戦いの記憶は、ロシアでは今なお11月4日の「国民団結の日」として祝われています。

ロマノフ朝の成立

1613年、ロマノフ家のミハイルが新たな皇帝として選ばれ、彼の治世のもとでロシアは新たな時代へと足を踏み入れました。彼は太平の名のもと、国を再建し、歴史的に重要な政権を樹立しました。ロマノフ朝の成立は、混乱を経て強いロシア帝国の基礎を築くことに繋がります。

文化への影響

動乱時代は多くの芸術家や作家にインスピレーションを与えました。ボリス・ゴドゥノフの物語や、モスクワを解放した英雄たちの叙事詩は、多くの文学やオペラの題材とされました。特に、プーシキンやムソルグスキーの作品は今でも非常に有名です。このように、動乱時代はロシア社会が形成される重要な時期であり、後世に大きな影響を与えました。

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